Vol.91 SUPER DARTS 2018
村松 治樹 優勝

2018年5月

この大会のタイトルを獲ったプレイヤーはソフトダーツの歴史に名前を刻む
ソフトダーツの舞台としてはまさに世界最大級を誇る超ビッグイベントSUPER DARTS。2007年から始まり、今までに8回開催され歴史を刻んで来た。

思い起こしてみると、まず江口の第一回優勝に始まり、次いで星野の2連覇。この時期の星野のダーツには誰もが魅入させられたことだろう。そして勝見、橋本の優勝。今は亡き橋本だが当時の無敵のダーツは忘れがたい。
さらにスコット・カーシュナー、ポール・リムと外国人選手が頂点に輝いている。昨年は小野がタイトルを獲ったが、近くにいた奥様が爆発して喜んでいたのが印象的で、まるで昨日のことのようだ。試合後に小野の優勝インタビューを録ったが、その感激の様子は誌面では伝えることが難しいほどで「信じられない」を連発していた。
どの試合も語り続けられるような名勝負だった。ソフトダーツ最高峰のプロプレイヤーが世界から集う舞台なのだから当然だろう。どのプレイヤーにとっても、一番欲しいタイトルはこの優勝トロフィーだというのは間違いない。
さてこの冠に新しく名前を刻むのは誰だろうか?誰もが待っていたステージの幕が開いた。

村松 治樹 Haruki Muramatsu 優勝 INTERVIEW
SUPER DARTS 2018優勝おめでとうございます。今年はどういう経緯で出場が決まったのですか?
ありがとうございます!国内プロダーツJAPANのBLUEシーズン1位の枠から出場しました。

昨年は人気投票でしたが、毎年工夫していておもしろいですね。決まった時はいかがでしたか?
特に意識していたわけではなかったんですが、ホッとしましたね。今までシーズン1位も獲れていなかったので、やっぱり嬉しかったです。

まず第一試合ではシュー・ツーシェン選手との対戦で3ー0で勝利しましたが、いかがでしたか?
相手もちょっと緊張していたようで、結構外してくれました。僕は会場の雰囲気には緊張していましたが、相手に対してどうこうというのはなかったですね。

第二試合はクリス・リム選手で、こちらも3ー0で勝利しました。この試合はいかがでしたか?
ファーストレッグで上手くブレイクできたので、そこから波に乗れた感じでした。3レッグ目でも「これは落としたな」と思ったクリケットがまくれたんです。「落としても次にキープすればいいや」と思いながら投げていたのが逆転につながったかもしれないですね。

第一・第二ともに3ー0と順調な出だしでしたね。そして第三試合の相手は強敵のポール・リム選手で3ー2という結果でした。この試合の流れはどうでしたか?
途中の展開はあまり覚えていないんですが、「ほぼほぼ負けたな」と思った最終レッグでワンチャンが回ってきたんです。運が良かったと思いますね。

ポール・リム選手は若い選手ではないですが、まだまだ打ちますよね。
そうですね。彼の様にずっと成長し続けている姿を見ると、自分もまだまだ頑張って、長くやっていきたいと思いますね。

そして決勝はフィル・テイラーでした。4ー3という激戦でしたが、いかがでしたか?
もう失うものは何もないという心境でした。フィル・テイラーに負けて恥ずかしいということはないから、とにかく良い試合をすることだけを考えました。そういう気持ちで挑みましたが、レッグが獲れてくるうちに「もしかしたら」という気持ちが生まれて、そこからはナーバスになりましたね。

フィル・テイラーとはPDCのワールド・チャンピオンシップでも対戦されていますが、ハードではなくソフトで戦ってみた感想はいかがですか?
スティールで戦うよりはソフトの方が、もしかしたらチャンスはあるかなと思っていました

フィル・テイラーのソフトダーツを目の前で見てどうでしたか?
それまでの試合を見ていて、ソフトを投げてもとんでもないんだなと、ずっと思ってました。実際はやっぱり凄いですが、今回はちょこちょこ外してくれることもありました。

舞台裏はどんな雰囲気なのですか?
控室と練習ルームがあって、みんな普通に雑談しながら人の試合を見たり、気が向いたら練習したりしていました。ピリピリした雰囲気というのはなくて、意外にリラックスしていましたね。

試合後に控室でフィル・テイラーにダーツを貰っていましたね。
もう家宝にします!

フィル・テイラーの試合後のインタビューでは「ハルキはいいダーツを投げたよ」と上機嫌でしたが、やっぱりターゲットプレイヤー同士という親密感があるのでしょうか。
同じメーカーと言っても、しょっちゅう会える人ではないですからね。対戦できるチャンスもほとんどないので、僕にとっては夢の様な日でした。

フィル・テイラーが出場すると聞いた時はみんな驚きましたよね。
フィル・テイラーが出場してくれたら面白いし、イギリスにもニュースが伝わってソフトにとっても、いいことだなと思っていました。
そうしたら本当に出場して、さすがダーツライブだなと思いましたね。

改めて優勝した感想をお聞かせ下さい。
優勝できたことはすごく嬉しいです。そして決勝の相手がフィル・テイラーだったということが何よりも幸せでした。
今までもTHE WORLDやシカゴのダブルスで優勝したりして、地元で『世界チャンピオン』と言われることはありましたが、正直「世界チャンピオンなんかじゃないんだけどな」という気持ちでいました。
でも今回はフィル・テイラーを倒しての優勝なので、今までよりは少し素直に『世界チャンピオン』というのを受け入れられる気持ちです。

多額の契約金を獲得されましたが、今年は楽な一年になるのではないでしょうか(笑)。
いえ、車を買ってほとんど消える予定です(笑)。

車ですか?何を買うのですか?
ランドローバーのディフェンダーを買う予定です。10年間ずっと欲しかったんです。やりました!

今年はPDCアジアン・ツアーにも挑戦されて、JAPAN2018シーズンでは2ステージ終了して現在1位、そして今回の優勝と素晴らしい出だしですね。この一年の取組みはどのようなイメージでしょうか?
去年もBLUEシーズン1位を獲れて前半は良かったんです。今年は後半尻つぼみにならないようにこのままの調子でぶっちぎって、鈴木未来選手みたいに優勝できたらいいなと思っています(笑)。

今回の優勝で村松選手のファンがまた増えたと思います。改めて読者にメッセージをお願いします。
ダーツで勝つのに特別な体格や身長などは必要ないと思います。僕は日本人の平均以下かもしれないですが、それでもこうやって優勝することができるんだというのを証明できたかと思います。
だからみなさんも自分を信じて、頑張ってダーツを投げ続けてください。