Vol.85 THE 12TH
TAIWAN OPEN 2017

2017年5月

昨年に続きTHE 12th TAIWAN OPENの取材に赴いた。今年は会場をニュー台北シティーの大学内にある講堂に移して開催された。参加人数も昨年の1200名から大幅に増え1600名。大成功のトーナメントとなった。それにしてもアジアのソフトダーツは確実に成長していることを改めて実感した。インターナショナル・マッチで日本代表は優勝こそしたが、けっして楽なゲーム展開ではなかった。アジア全ての国が日本を強く意識していて、追いつき追い越せという空気を感じる。数年したらきっと日本選手と同等のダーツが投げられるプレイヤーが多く登場することだろう。そうなるとソフトダーツがさらに広まるに違いない。

INTERNATIONAL TEAM GAMES
なんと言っても苦戦したのはセミファイナルでの準決勝、韓国戦だろう。最初のシングル戦を終えて、まさかの1勝3敗。いきなり後がなくなった。そこから奇跡のようなダーツでダブルス戦を二つ勝ち、3勝3敗にし、ガロン戦に持ち込み勝利した。ヒヤヒヤのゲーム展開だった。決勝はアメリカとの激突となったが、そのゲームはそれぞれが実力を発揮し、危なげないダーツで優勝を飾った。

浅田と髙木は昨年に引き続き代表だが、一宮と竹本は初めての代表という4選手でインターナショナル・マッチに臨んだ。かなり苦戦したのだが、追い詰められると団結力が光った。もうほとんど敗退か?という場面でそれぞれが声をかけ、勝利を呼び込んだ。やはりプロダーツプレイヤーというプライドが最後の場面で現れた。この前に二日間試合をしてるのだが、「みんな強いな!気を抜くとすぐに負けてしまう」と口にしていた。アジアのプレイヤーのレベルアップが実感できた。

日本代表 INTERVIEW
浅田 斉吾
今回の台湾大会はどのような印象でしたか?
去年も来たんですが、台湾の選手を始め他のアジアの方々もすごく盛り上がっていて、去年以上に活気が感じられました。

優勝を決めた代表戦はいかがでしたか?
去年のメンバーとちょっと変わったんですが、僕がキャプテンをやることになりオーダーを組ませてもらいました。去年よりアメリカなどの参加チームも増えたし、韓国もAチームBチームに分かれて出場したりしていて、とにかくレベルがすごく高かったです。

台湾についてはいかがですか?
フェニックスの世界大会ではADAがありますが、台湾はほぼADAに近い感じだと思います。去年はADAの少し小さい感じというイメージでしたが、今年はほぼ同じメンツでした。出場しているメンバーもほとんど同じで人数も多くて、ADAの台湾版という感じの大会でした。

楽しめましたか?
すごく楽しかったです。竹本さん、大将(一宮弘人)、しーちゃん(高木静加)、僕というメンバーだったんですが、日本代表というよりはトリニダードメンバーで戦えたので、チームワークが良くて楽しみながら試合ができました。

髙木 静加
今回の印象はいかがでしたか?
去年よりもレベルが高いと感じました。強い人が多かったです。去年来ていたチームがいなかったり逆に新しいチームがたくさん来ていたりで、また新鮮な大会でした。

アメリカのポーラとは何回も戦いましたね。
7回か8回戦いました。

もしかして全部負けてしまいましたか?
はい。全負けでした……。弱かったですね……。

今回の高木選手を見ると少し苦しんでる様子が伺えましたが。
3日間というのがしんどかったです。やっぱり疲れが溜まりますね。もっと体力を付ける様に頑張ります。

楽しめましたか?
楽しかったです。でも3日間はホントにしんどかったです。もっと海外の大会に慣れなくてはダメですね。

でも最後は見事優勝されました。
みんなのおかげで勝つことができたので、超泣きそうになりました(笑)。特に竹本さんの試合とか泣きそうになりました。来年もまた来られたらいいなと思います。

一宮 弘人
台湾大会の参加は今年が初めてですが、印象はいかがでしたか?
すごく楽しかったです。海外でいろいろな国の方々と、ダーツを通じて話せたり試合ができるのは素晴らしいことだと思いました。

代表戦ではいろいろなドラマがありましたね。
セミファイナルがきつかったですね。めちゃめちゃきつかったんですが、チーム戦は一人で戦っているわけではないので、4人が上手く噛み合えたのが良かったと思います。今回のメンバーは経験も豊富だったので、全体的には落ち着いて試合できたのがいい結果につながったと思います。

特に楽しかったことはありますか?
普段戦っている現場がパーフェクトなので、どうしてもセパレートのブル60を使って勝負しています。それがこの大会ではファットブルだったので、ブルを真剣に狙ったのが楽しかったです。
自分がダーツを始めた時ブルに入った音を聞くと「ブルに入るとこんなに気持ちいいんだ」という気持ちになりましたが、それを改めて思い出しました。

来年もまた出場したいですか?
はい。まずは代表に選ばれる様に日本でしっかり結果を残して頑張っていきたいと思います。

竹本 吉伸
全体的にどのような印象でしたか?
楽しかったです。

一番楽しかったのはどんなところですか?
みんなマナーがいいというのか、相手を称え合えるという感じがしましたね。日本では勝った側がコントロールに報告するのが当たり前ですが、こちらではほぼ負けた側が報告しに行くんです。負けても気持ちいいというか、国が違えばいろいろ変わるなと思いました。

代表戦のセミファイナルではドラマチックな展開になりましたね。
かなり追い込まれていたので、ここで外すわけにはいかないと気合いが入りました。入って良かったです。

ブル、ブル、45という打ち方でしたが、あの場面ではあれしかなかったですよね。
そうなんです。15トリプルに入れるしかなかったんです。

韓国チームが唖然としてましたよ。
でもその前に韓国チームにはやられてるんで(笑)。相手も強かったです。

竹本選手は海外の大会の出場経験はありますか?
世界大会は初めてです。いつか行ってみたいと思ってたんです。

実際に出場してみていかがでしたか?
もし世界大会に出たら自分が変わるだろうと思ってたんですけど、実際変わったかどうか今はまだわからないですね。日本に帰って試合の成績を見て、今回の大会が教訓となったかどうかですね。

また出場したいですか?
したいです。台湾だけじゃなく韓国、香港、アメリカ、ヨーロッパ……、いろんな国に行きたいです。頑張ります!

PHOENIX TAIWAN DARTS ANGELS
Crystal
台湾ダーツエンジェルの仕事を始めてからどのくらいになりますか?
約3年になります。とても楽しんでさせていただいています。

お仕事内容について教えてください。
ダーツのプロモーションです。一週間のうち数日ダーツショップやダーツバーに赴いてダーツのルールや初心者の方々にダーツを教えています。長く続けてきましたので多くの友人ができました。私が来店する予定などを知ると待っていてくれたり、とても交友範囲が広がりました。その方々同士を紹介したりすると、一緒にダーツを投げるようになったりして輪ができます。ダーツって素晴らしいですね。やりがいのある仕事だと思っています。

とても忙しいですか?
以前と比較すると忙しくなって来ました。今ではお店に行くととても多くの方々とゲーム対戦するようになりました。この数年でもダーツがより広まっているんだなと、肌で実感できます。同時にプレイヤーのレベルも上がってきました。

いろいろな国にダーツで行かれましたがご感想は?
韓国、マレーシア、香港、マカオなどに行きました。ダーツを投げて海外に行けるのですから最高のお仕事ですね。アジアのダーツシーンはますますヒートアップしているように感じます。イケメンにも多く出会いましたし(爆笑)、これからも台湾ダーツ・エンジェル頑張っていきたいと思います。
日本でお会いした時にはぜひ声をかけて下さい。一緒にダーツしましょう。

台湾ダーツについて教えてください。
台湾の特徴として女性プレイヤーが増えてきたと思います。ダーツはいろいろな層に浸透し始めていて、今では台湾の多くの人たちがダーツについて知ってくれているようになりました。お洒落なスポーツだと捉えられています。
興味深いことですが、最近いくつかの中学校でクラブ活動として取り入れ始めました。以前から大学ではいくつもあったのですが底辺が広がっていますね。さらにこれからの発展が楽しみですね。

最後に読者にメッセージをお願いいたします。
日本と台湾は距離的にもとても近い国ですので、ぜひ遊びに来てください。日本はダーツ先進国ですが、台湾ダーツの強いところもお見せしますよ。

左から:Meng Meng、Crystal、Elaine、Belle

Belle
いつからダーツ・エンジェルを始められたのですか?
昨年からです。

どうしてダーツ・エンジェルを始めたのですか?
ダーツが大好きで何かダーツ関連の仕事をしたいと考えていました。そうしたら友人がフェニックス社を紹介してくれて、ダーツ・エンジェルというポジションをいただきました。
とても楽しくてエンジョイしています。私はアルバイトなので一週間に3日、3〜5時間プロモーション活動をしています。

台湾ダーツはどのように感じていますか?
まだ始めてから短い期間ですが、それでも過去半年でもプレイヤーは増えていると思います。どんどん若い人たちがダーツを始めていると実感できます。

ダーツで海外に行く機会がこれからあると思うのですが?
アジアのどの国も台湾から近いですから、いろいろな国に行ってみたいですね。どの国も魅力的だと思います。この雑誌は日本で出版されているので、日本に行った際には、ぜひ一緒にダーツを投げましょう。負けませんよ!

読者にメッセージをお願いいたします。
今までにいろいろなスポーツをやってきましたが、ダーツが一番楽しいと思います。真剣に取り組むこともできますし、また趣味として投げていても友人が凄く増えます。老若男女、誰もが一緒になって時間を共有して遊ぶことができる競技はダーツぐらいではないでしょうか。
これからも一生懸命プロモーションして台湾にダーツを拡げたいと思います。
ぜひ台湾に遊びに来てください。ダーツバーは楽しい人たちばかりで、とても賑わっていますよ。

台湾フェニックス
Managing Director Tony Kuo
今年は場所を移しての開催となりましたが、その理由を教えて下さい。
昨年の11月にニュー台北シティー政府と特別な協定を結ぶことが出来たからです。一緒にダーツを広げるためのアソシエーションを創立しました。台湾はいくつかの地域に分かれているんですが、それぞれにルールや規則、法律が違います。ダーツはまだ全国ではオフィシャルスポーツとしては認定されていません。
しかしこの新しく設立された協会が意味するところは、ダーツをスポーツとしてニュー台北シティーが認定したということです。そのため今年の大会はこの地域で開催した訳です。
今までに大会を台北で11回開催して来ましたが、もっと全国に拡大するためにこのような道を選択しました。
来年以降はさらに他の地域でダーツがスポーツとして認定されるようでしたら、きっとその新しい地域で大会を開催することになるでしょう。

今年の大会は12回目となりましたが?
特に今年の大会は政府がサポートしているダーツ大会ですので、やっとここまで来たか!という感じですね。とても感慨深いものがあります。台湾においてダーツはよりポピュラーになり、今も発展中です。しかしながら政府のサポートを得たことで、スポンサーからの評価が劇的に変わりました。
正直なところ、かつてはスポンサーを探すのはたいへんなことだったのですが、今ではダーツとは直接関係していない企業からも興味を示していただいています。
そのような影響もあり、昨年は1200人でしたが今年の大会には1600人にも及ぶ参加人数となりました。主催側としてもたいへん嬉しく大成功だったと思います。来年からはさらに大きな大会になると信じています。
台湾ダーツビジネスは現在どのような状況ですか?
長い期間ダーツビジネスをしていますが、最近より拡大していますね。実は台湾自体の経済はあまり良くないんです。過去20年間GDPや平均給料はずっと横ばいという統計結果が出ています。
そんな中でダーツビジネスは健闘していると思いますよ。経済の上昇に期待したいですね。そうすればダーツビジネスもそれに合わせて飛躍的に成長することでしょう。

日本では最近ダーツ環境が変化を見せています。台湾ダーツのこれからはどのように考えていますか?
日本ではダーツが熟成期を迎え、これからどの方向に向かうのか、試行錯誤していると聞いています。
私どもはダーツにおいて日本とは違った取り組み方をしています。力を入れているのが学校へのクラブ活動とチャリティーイベントです。ダーツボードを無料で設置し、弊社のスタッフも多く投入し、地道に努力して来ました。夜のバーなどだけではなく、いろいろな場所でプロモーションをして来ました。
その結果として政府がダーツを認めてくれた、と思います。長い道程でしたね。国や地域によって様々なダーツがあるというのは興味深いですね。

アジアンプレイヤーのレベルが急速に上がってきていますが?
台湾プレイヤーの進化も目覚ましいものがあります。最近の若者は始めてから半年も経つとトッププレイヤーと互角に戦っています。今回の大会でもインターナショナル・マッチにおいて結果として日本が優勝しましたが、かなり苦戦したでしょう?アジアのどの国も打倒ジャパンを意識しています。近々日本プレイヤーのレベルに追いつくことでしょう。

プロトーナメントについてはどのように思いますか?
台湾ではまだ環境が整っていないと思います。プレイヤーがダーツを投げるだけで生活していけるとは感じていないでしょうし、そこまで機運は高まっていません。まだまだ時間が必要だということでしょうか。

今回の大会では特に女性プレイヤーの参加が多かったように感じましたが?
台湾ではダーツがとてもスタイリッシュなスポーツとして捉えられているからでしょうか。実際今回でも多くの女性プレイヤーにご参加いただきました。ダーツが男子だけのスポーツだけではない、というイメージがダーツを拡大させる牽引力となっていると思います。

これから台湾ダーツが目指すものは何でしょうか?
もっともっとダーツを広げていくことです。一部の限られた人達がプレイするものではなく、あらゆる年齢層で男女の区別もなく、知ってプレイして欲しいと思います。台湾ダーツ発展のために努力は惜しまない覚悟です。

最後に読者にメッセージをお願いいたします。
福島で大地震がありましたが、その翌月に開催された台湾大会でのパーティーで参加者に募金を募りました。たくさんのプレイヤーが賛同し8千アメリカドルを集めましたが、とても感動的なシーンとして記憶しています。
星野選手が来ていましたが号泣していました。台湾はとても親日な人々が多いんです。ぜひ一度遊びに来てください。多くの友人ができると確信しています。