Big Baby_column_Top-4

No.4 有意義にそして、自分らしくUKライフ送りたい

2017年3月

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さて三回目ですね。ということはこちらに来てもう半年が経つということです。前回のNDL発売から2ヶ月。その間に多くの経験を積むことができました。
Q-SCHOOLやUK・OPENの予選、山田勇樹プロとの一カ月の共同生活など目まぐるしく過ぎていったような気がします。
去年もトライしたQ-SCHOOLは今年は少し慣れたのか落ち着いてプレイすることができました。
ただUK・OPENの予選はほんとに苦しい試合ばかりで試合の運び方や、決め所などまだまだ勉強しなければいけないことがあると感じさせられたイベントでした。

特に感じたのは、試合の入りです。山田プロとも話したのですが、試合開始と同時にファーストゲームを先攻ブレイクされた場合、それはすでに2レグ取られたも同じです。
これは残酷でしたが、先行キープというものがここまで大切なものだったかと。そして、ブレイクすること、2レグ連続で取ることは難しいものなんだなと感じさせられました。

まず明らかな違いとしては「削り」これはソフトで例えるとRt14がRt17~18と試合をしているようなものだと思います。
たまに互角に張り合えるときがあるぐらいでほとんどはスコアを先行されてそのまま逃げられます。
映像で見ている彼らは本当に超人的な技術の持ち主です。
しかしながら張り合える時もあるということは、自分にも可能性があるということなので違いを見せつけられたと同時に自信にもなりました。
ダブルの決定率でいえばいままで僕がリーグで対戦した強いプレイヤーよりもミスが2本ほど少ないと感じました。これは体感であるので、詳しくはわかりませんがダブルを狙っても、たいてい3本使い切らずに決められることが多かった印象です。
そしてハイオフトライをされることも多かったのでやはり技術的には3本に2本は高確率で入れてくるレベルでしょう。
1レグで平均的に17本投げることを考えると、1本のミスが結果的に次のラウンドに回ってしまうわけですからこれは非常に不利です。かといってその1本に集中しきっていたかと言われればそうではないと思います。すべての動きが流れの中で行われていて身体がすべて覚えているといった印象でした。まさにマッスルメモリーです。

敗戦後に有名選手の試合を観戦しましたがミスをしても何事もないように後ろに戻り、また体が勝手にオキへと動き出すのです。こういったことはまだまだ僕には足りないことです。体が勝手に動いてくれる時もあれば、あれこれ考えてしまって身体が重くなってしまうときもあります。
そして観戦や実際に試合をして感じるのは、試合のリザルトだけでは何も分からないということです。
たとえ6-0で勝ったとしても圧勝ではなく辛勝かもしれませんし、僕がPDCプレイヤーと対戦して0-6で負けた時もぼろ負けの結果ですが僕的にはダブルの1本差で負けてしまっているレグばかりなので惜敗だと思っています。
ただ本当につらいのは5-6で勝ったときや負けたとき。1試合でこんなにぐったりするのかと思うほど疲れてしまいます。僕はほぼ毎日フルセットを経験したので、こんな試合ばかりではなかなか進めないなと実感しました。とはいっても、この二つのイベントは間違いなく僕の経験として蓄積されています。自信がつきました。そして単純に毎日7時間ほど(9:00~16:00)試合までに投げ続けているので技術的にも成長できた気がします。

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今回、Q-SCHOOLとUK・OPEN予選が行われていたのはwiganという街です。日本と違いツアーの開催場所はほぼ固定されており
wiganはイベントが多く開催される街のひとつです。選手の控室などはなく、観客もほぼいませんが独特の緊張感が漂っている様はワクワクが止まりませんでした。
ちなみにですがピーターは参加選手の中でも最も早く会場入りしてウォーミングアップをする選手の一人でした。
彼はイヤホンをして一人で投げ続けていました。かと思えばソーントンとキングは二人でずっと上がり目の練習を笑いながら和やかな雰囲気で行っていました。
ひときわ練習ボードに人が並んでるなと思えばオランダ勢。彼らは固まってアップしています。若手からベテランまで、皆さんが想像できるオランダのプレイヤーが一つのボードで投げていると思ってみてください。まさにオールスターでした。
今回参加したイベントはメジャーなものではありませんでしたが、個人的には初勝利をあげることもできましたし、貴重な経験を積めたイベントになりました。
このイベントが終わってからそのまま山田勇樹選手とロンドンへ帰り、彼との一カ月が始まりました。いくつもの苦難を乗り越えてきた山田選手からは学ぶことも多かったです。私生活を通じて彼と接する機会はいままでも数回ありましたが、今回のような長い期間は初めてです。
彼はこの一ヶ月間のイギリス滞在を自主トレ期間と位置づけていたので、毎日トレーニング主体の生活を送っていました。
僕が学校へ行っている間も、試合に向けてランニングや筋力トレーニングを毎日行っていましたし、僕が学校から帰ってきた後に二人で練習に行くこともありました。自宅に設置してあるボードでも、練習を行っていました。

また、練習ばかりだけでなく、息抜きとして観光に行くことも大切にしていましたので、一ヶ月の滞在で思う存分イギリスを満喫できたのではないでしょうか。
山田選手のすごいところはオンとオフがはっきりしているところです。ダーツをしている時の集中力は日本トップクラスのプレイヤーだけに凄まじいものがあります。試合となると練習の時とは違うレベルで集中し、高いパフォーマンスを発揮していました。そんな山田選手も試合を終え、帰宅するころにはただの面白いお兄ちゃんに戻っています。そんな人柄が彼の魅力でもあります。
話すことと言えばお互い好きなカルチャーの話や趣味の話、将来の構想などそこにダーツが入ってくることはありません。だからこそ彼はモードに入ったときに集中してダーツに取り組めるのだと思います。
ダーツへの取り組み方に関して、僕の現状を踏まえいろいろアドバイスしてくれることもありましたし、イギリスからの情報発信を「今後ともよろしく」とお願いされることもありました。

そしてやはり大事なことはチャレンジするということです。これからも、海外にチャレンジする人がもっともっと増えるようにいろいろ発信していきたいですし、そういった人たちの力になれるよう経験を生かしたアドバイスができればいいなと考えています。とにかくチャレンジしないことには何も起きません。考えているだけではなにも前に進みません。
知りたいと思えば聞いてもらえれば答えますし、調べることだってできます。トライできるのはQ-SCHOOLだけではありませんし、その他の大会でも素晴らしい経験を積むことができます。
日本を離れて生活することは難しいことかもしれません。僕もあと半年で帰国しますが、再びチャレンジするとしても現在のような長い期間の滞在は難しいと考えています。ただ限られた期間でのチャレンジ方法というのもあるので、自分に合ったチャレンジを見つけていくことが大切だと思います。
イギリスに住んでPDCにチャンレンジする準備ができていないのであれば、Q-SCHOOLを受けるよりもUK・OPEN予選に出場したほうが良い経験になると考えるところもありますし、BDOへのチャレンジも視野に入れておくことも大切だと思いました。
あまり知られていませんがPDCという夢のステージにも、下部ツアーやyouthツアーが開かれていたりと皆さんが知らないところで多くのプレイヤーが毎月どこかであのステージに向けてチャレンジしているのです。
もちろん僕もその一人ですので多くの経験を積んで、いつかあのステージに立てるようになりたいと思います。

今年の1月から3月は僕にとって、とても密度の濃い期間でした。試合に参戦し、いろいろな出会いもあり、これらすべてが貴重な経験となりました。
これからチャレンジツアーというものに参戦しますのでますます早く時間が過ぎていくことでしょう。
早いもので僕のイギリス滞在もあと半年となり、ここからはもう毎日が帰国へのカウントダウンです。有意義にそして、自分らしくUKライフ送りたいと思います!それではまた!