Rin_column_Top-4

No.4 復活のRaymond van Barn

2021年3月

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オランダ出身のダーツプレイヤーで、ニックネームは「Barney(バーニー)」
ウォークオン(入場)の曲にはSurvivorの「Eye Of The Tiger」を選んでおり、バーニーの着ているユニフォームには、虎が描かれている事が多かった。又、ウォークオンミュージックの前に流れるファンファーレには「サイレン(空襲警報)」を選んでおり、このファンファーレがバーニーの荘厳さ・格好良さを引き立ててくれている。
BDOで4回、PDCで1回、計5回ワールドチャンピオンの称号を手にしている。その中でも、2007年のPDC World Darts Championship決勝におけるPhil Taylorとの一戦は、過去最高の試合と言っても過言ではない程の激闘を繰り広げ、サドンデスを制して優勝した事で有名である。その他にも、UK Open・Premier League Darts・Grand Slam of Dartsといった名だたるタイトルを数々獲得しており、紛う方なきレジェンド選手の一人である。
そんなバーニーは、2015年・2016年にPDCが日本で開催された際に来日している。2015年に横浜で行われたJapan Darts Mastersでは饗場克也氏と、2016年に東京で行われたTokyo Darts Mastersでは小野恵太氏と、それぞれ1回戦で対戦した。

惜しまれながらの引退、悲劇の引退試合。「Never Ever…」
2018年11月、バーニーは2020年度を以てPDCから引退することを発表した。突然の発表に多くのダーツファンが驚いた事だろう。
その引退宣言から数か月後、2019年3月28・29日にバーニーの母国オランダ・ロッテルダムでプレミアリーグが開催された。バーニーがオランダで出場する最後のプレミアリーグという事もあり、数万人のファンがロッテルダム・アホイアリーナに集まった。会場にいる人達はほぼ全員オレンジ色の服を着ていて、「Barney Army!!」の掛け声がアリーナ中に轟く程の大歓声に包まれている位に、会場は熱狂的な雰囲気となっていた。
そして何と、2日目に行われたMichael van Gerwenとの試合に敗れた後、本日を以て引退すると突如会場で表明したのだった。一時会場は騒然となったが、引退をお祝いするムードのままプレミアリーグは終了した。しかし、翌日に引退を撤回し年末まで現役を続行すると発表したのだった。この時は、どっちだよ!!笑と流石に突っ込みたくなってしまった。
そして、2019年12月、現役最後のトーナメントとなるWorld Darts Championshipを迎えた。1回戦はアメリカ代表のDarin Youngとの対戦だった。多くのダーツファンが1回戦はバーニーが勝つだろうと考えていただろう。
しかし、この日のバーニーは思ったようにダーツが入らず、数々のダブルミスを重ね、どんどん追い込まれてしまう。そして、迎えた最終局面、Darin Youngがウイニングダブルを決める前から会場はブーイングの嵐、会場にいた殆どの人がバーニーを応援していただろう。しかし、Darin Youngから放たれたダーツは20ダブルに刺さり、バーニーの敗北が決まってしまう。そして、バーニーは心ここにあらずといった姿で悲愴感を漂わせながら、足早にステージから立ち去ったのだった…。その後、インタビューでは「I will never forgive myself. Never Ever…」 とコメントを残し、悲劇の引退試合は幕を閉じた。

決意を新たにPDCへ再挑戦、Qスクールからのリスタート
2020年9月23日、全てのダーツファンに衝撃が走った。バーニーが、2021年度のQスクールに出場する事でPDCプレイヤーへの復帰を目指す意向を示し、引退宣言を撤回したのだ。
これについて、世界のダーツファン達の間では賛否両論が分かれた。「もう一度、バーニーがダーツをプレイしている姿を見る事が出来るかもしれない事は嬉しい」といった好意的な意見もあれば、「引退時の状態のままなら、PDCで再度活躍するどころか復帰する事すら難しいだろう」といった厳しい意見も多く見られた。
そして迎えたQスクール。予選ステージでは3日目にベスト4に入る事で無事突破、決勝ステージでは4日間のポイント数の合計で、見事上位8人の中に入り、PDCツアーカードを再び手に入れた。しかもQスクール(EU)におけるアベレージは94.62で堂々の1位、流石の貫禄である。

ツアーカード獲得後すぐ、Players Championship優勝、見事な復活劇
バーニーがツアーカードを獲得し、迎えた初めてのトーナメントがPDC Super Series Players Championship 1~4だ。
1日目は1回戦敗退、2日目は2回戦敗退、と厳しい状況が続く中の3日目。Rob Cross・Mervyn King・Ian Whiteといった強豪選手達をどんどん倒していき迎えた決勝、相手は1日目に優勝していたJoe Cullen、両者一歩も譲らないバチバチの試合となり、14レグ目、相手のダブルトラブルで回ってきた12残りを3本目に3ダブルで決め、見事優勝を果たした。
この優勝はバーニーにとって2014年のプレミアリーグ以来7年ぶりのタイトル獲得であり、PDC復帰後3回目のトーナメントで優勝するという素晴らしい復活劇を見せてくれた。
またいつか、プレミアリーグの舞台に上がるバーニーが見られるのではないだろうか、そんな事を思うくらい、これからのバーニーの活躍に期待が高まる。