Rin_column_Top-10

No.10 PDC 2022年度上半期を振り返って

2022年5月

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ジョー・カレン、マスターズ優勝
TVメジャータイトルの1つであるマスターズ。賞金ランキング上位24名のみが参加する事の出来るトーナメントとなっており、優勝賞金は6万ポンドだ。
本トーナメントで、ジョー・カレンは、“ダリル・ガーニー” “ギャリー・アンダーソン” “マイケル・ヴァン・ガーウェン” ”ホセ・デ・ソーサ“ ”デイブ・チズネル“といった名だたる強プレイヤー達を撃破し、見事優勝した。
本トーナメントを優勝した事で、ジョー・カレンはTVメジャータイトルの初獲得を果たした。
ジョー・カレンは近年、プレイヤーズチャンピオンシップ等で素晴らしい成績を残していた事から、近い将来必ずメジャータイトルを獲得するであろうと私も考えていた。今後の活躍にも非常に期待をしている。(話を逸らしてしまうが、決勝戦の相手である”デイブ・チズネル“も勝てば初‘TV‘メジャータイトルの獲得といった状況であった。チズネルは過去5回、TVメジャータイトルの決勝戦で敗北している。)

ガーゥイン・プライスに関わる話題
1. 2022年度上半期は成績が振るわず
元賞金ランキング1位のガーウィン・プライス、本年度のPDCサーキットが始まってから今現在に至るまで、獲得したタイトルは「Interwetten International Darts Open」と「Players championship 07」の2つのみとなっており、プレミアリーグでも好成績を残せずにいる。

2. 不運の利き手骨折
3月には、利き手の骨折という不運が彼を襲った。手の不快感から病院を受診したところ、X線検査で軽度の骨折が見つかったのだ。
ここで驚かされたのは、プライスはダーツのプレーを中断しなかった事だ。骨折という怪我は、通常なら手を固定して安静に過ごすのが常識であるが、彼はプレミアリーグや他の試合に出場し続ける事を選んだのだ。

3.衝撃のボクシングデビュー発表
本年2月、プライスがボクシングデビューする事を発表した。4月にRhys’Cool Fly&Flashy’ Evansと対戦することを明らかにし(利き手の骨折という負傷から、この試合は延期されたが、5月13日にリスケジュールされている。)、「ボクシングの試合に向けて、10kgの減量をしなければならない」と述べた。
この、プライスのボクシングデビューについてマイケル・ヴァン・ガーウェンは「ボクシングは体に良い事では無く、怪我をする可能性もある。人生において最善の決断ではない」と苦言を呈しつつ、「プライスの行動はいつも想像の範囲内に収まるものでは無く、今回のボクシングデビューも彼らしいことだ。幸運を祈るよ。」と応援もしている。

ピーター・ライト、賞金ランキング1位へ。
歴史が動いたのは、2022年3月6日、UK OPENのQF(クオーターファイナル・準々決勝)での事だ。
当時賞金ランキング世界1位のガーウィン・プライスは、このQFで負けると、賞金ランキングが2位へと落ち、1年と少しの間居座っていた世界1位の座から転落する事が確定していた。
ガーウィン・プライスのQFの相手はマイケル・スミス。試合はお互いに1歩も譲らない白熱した展開であったが、結果はスミスの勝利であった。この瞬間、プライスの世界1位は陥落し、新世界1位にピーター・ライトが成り上がった。
昨今の様々な試合を観ていると、ピーターがスコア力やチェックアウト力が他のPDCプレイヤーより、頭一つ抜き出ている事は間違い無いと私は感じており、漸く名実共にピーターが世界1位に成る事が出来た事に嬉しさを覚えた。
余談だが、プライスは試合後、自身のインスタグラムのストーリーにて、「That hurt But I’ll be back」というコメントと目に涙を浮かべる写真を載せていた。
今現在、1位ピーターと2位プライスの賞金額の差は、たったの1万3千ポンド程であり、何時また順位の逆転が起きてもおかしくない状況である。
今後も、両者の賞金ランキングを巡った争いが楽しみだ。