No.50 廃業を宣言して残されたプレイヤーが 可哀想だなんて話を…

2020年1月

バレルブランドって、前よりもそんなに儲かるものではない時代になって来たので、所謂「開店休業」状態か「廃業」するブランドが増えてきましたよね。
残っているブランドの多くは、バレルブランドの他に「本業」を持っているところが多くなっているような気がします。
それくらい、事業として特に乱立した時代に生まれたブランドは、いつの間にか消えていってしまうことが多い。作るのは結構簡単ですからね(笑)。但し、継続することが異様に難しいんですよねぇ、バレルブランドって。

まぁ最近では、廃業を宣言して残されたプレイヤーが可哀想だなんて話をよく聞きますが、廃業に追い込まれた理由にもよりますが、例えば経営者が何らかの理由又はその経営者の杜撰さが理由、とにかくどんな事情があってもなくても、売り上げを使い込んでしまい支払いが滞ってしまった場合を除いて、そのブランドの業績が単純に落ちていったのであれば、これは選手側にも責任とまではいきませんが、廃業への一端を担っていると僕は感じてしまう時があります。
今の時代、前述したようにバレルブランドが増えてきて、又は海外ブランドも日本のマーケットに再参入してきている。
以前は「結果重視」で、その他に関しては求められて来なかった「広報活動」が重要になってきているんですよね。特にSNSが生活の一部又は多くを占めている昨今では、余計にこの差が激しくなるわけです。
勿論、ブランド側のプロモーションが大事ですが、ただ所属しているブランドが何かを発信したから、それをシェアすればいい、いいねを押しておけば良いという考えである選手は、余程の成績を残してくれなければ、ブランドとしてはかなり低い評価をせざるをえない時代になってきています。
結果を出している選手はそれで何にも言われないと思いますが、中堅選手(たまに結果は出すが、安定はしない)の場合、自分が活躍した数回だけを引き合いに出して、自分はもっと評価されるべきだと文句を言う選手の多い事。
僕は経営側の立場も経験したことがあるので、現在フリーの身なので内心はイライラしながら、笑って聞いていることが多いことも事実。

年間で行われるプロ選手の試合回数を鑑みると、2020年は平均して20試合程度。
365日中20試合程度ですよ。他のスポーツと比較すると異様に少ない。だから契約金もそんな皆さんが思っているほどではないし、「億り人」なんて現れない。
なにか勘違いしているの?ってなくらい「プロ選手は戦っていれば良い」と豪語している選手がいますが、それはトップ選手だったら「そうだろうね」と納得出来ます。
なぜなら、勝手に彼らはイベントだったり取材だったりといろいろな案件が増えていき、露出度も勝手に増えていく。
だから、別に本人はなにか特別にブランドの為に動いていると言う意識はなく「勝手にそうなっている」わけです。
しかしながら、結果が安定しない選手は、ではどこで評価されるのか?
大したインフルエンサーでもなく、オピニオンリーダーであるわけでもない場合には、評価に値しない選手が大半だと思います。
そういう風に考えると、ダーツプロ選手の8割の選手が「月額査定ゼロ」だと僕は思います。
ブランドはそんなに儲かる訳でもないですし、そもそも「スポンサー契約」はパトロン的要素でもないので、結果が中途半端な選手には実力以外の「広告力」ないし「販売力」を求めますからね。
自分がバレルブランドのオーナーになったと思って考えてみてください。
出勤もままならないバイトが文句言っていたらイラつくでしょ?(笑)。
それで、お店の賄い(バレル等のグッズ)だけはしっかり取りに来る。まぁ、こんな選手はいらないですよね。
それと同じような行為をしている選手が多いんですよ、本当に。
まぁサテライトプレイヤーという制度が僕は問題だと思いますけどね。
どっちにとってもなぁなぁになってしまって都合が良いと思っている。本当は一番効率が悪いと思うんですけどねぇ…。
勿論、正しい方法でサテライトプレイヤーを育成しているブランドは沢山あります。
が、一部「青田買い」的な要素が強いもので、とりあえず他に取られるならそんなに負担もないから獲っておこうという形態で、唾を付けておいて育成しないパターンもチラホラ見かけます。
これが「這い上がってやる」というモチベーションになるのならば、全然問題ないでしょうけど、結構愚痴を聞きますからねぇ…。
じゃあ、他に行けば良いとは思うんですけど、自分を売り込むという行為をしているのはごくわずかで、後は「成績が上がってきたら」という考えになっている人が多い。
その間に美味しい席は誰もが狙っているので、勢いのある人や売り込み方が上手な選手にササっと取られてしまうケースが多いと思います。
みんなが狙っている席の数は決まっているわけで、そんなに多くはありません。奥手な人や、周りとの協調性が取れない人は淘汰されていきますし、周りからしたら「なんであの子が?」と思われる選手がそこそこの契約をしていることもある。
でも、実はそのブランドもただ闇雲に契約金をばらまいてる訳ではなく、「そのブランドに必要だから」契約している。
大体単年契約が主ですから、ダメならすぐに切られますしね。まぁ日本のブランドの場合には結構それでも優しい方かなと思いますけど、段々とシビアになって来てるのは事実です。
なんでも良いんです。「この選手と契約したい」と思われる「人間力」がなければ、興味も沸かないと思います。
それが癖があろうが生意気だろうが、「個性」を前面に押し出さないと自分の順番は回って来ません。これだけバレルブランドに携わって来ていて、色々なオーナーと話をしますが、アプローチを掛けるのはほとんどがブランドからで、選手からの売り込みってあまりないそうです。
僕自身もあまり受けたいことないしなぁ…。この15年くらいで2〜3回あるかないかかな?

自信がなくても、断られるの覚悟でトライしてみれば良いのにと思います。
但し、前述したとおりに「入ったら終わり」ではなく、入ってからが勝負。これが出来ない人がまぁ多いんですよねぇ…。
最初は威勢がいいんですけど、段々とサボってくるというか、変に居場所を確保しているもんだから安心しているのか。
こちらも最初の一年くらいはお様子見で余程のことがない限り次年度も契約更新を考えますけど、2〜3年経っても「ただ在籍しているだけ」の選手はさすがに切ります。
それはたまたまうちのブランドと合わなかったとかもあるでしょうし、お互いの求めているものが違った等色々な事由があるでしょうが、ブランド側から切られるというのは余程だと思います。
他のメーカーの条件が良かったとかのオファーがあれば別ですよ。それは高く買ってもらえる方に行きたい人はそれで正解だし、そのままのブランドへの愛情がある人ならば、どんな金額を提示されても残るでしょうし。それはブランドとの信頼関係が金額では測れないものなんでしょうね。
よく「他に行ったら、もっと良い提示あるだろうに」と思う選手も多いですからね。こういう選手だったら、チャンスは必ずやってくる。
但し、入って自分は大した仕事していないのに文句言う選手は、情報がブランド同士で回りますので、気をつけたほうがいいですよ(笑)。
狭いですから2〜3日で大体の情報は回りますから。「村」ですからね。ほんと狭い業界です。

僕が関わっているブランドなんて、通年通して選手を探していますがなかなか立候補してくる人いませんからね(笑)。
あ、僕がいけないのか。そうならば納得(笑)。