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No.10 PDC チャレンジ ファイナル

2012年11月

今回は9月30日に開催されたPDCチャレンジ・ファイナルに関して。当店がサポートしている清水浩明も出場する為、私も応援に行って来ました。
清水浩明の今年一番の目標はPDCチャレンジで優勝してPDCワールド・ダーツ・チャンピオンシップに出場する事。それに続いてワールド・マスターズやWDF アジア・パシフィック・カップ(通称:アジパシ)に出て海外勝負をする事です。
それが5月の西日本予選の前に困った事態に。PDCチャレンジ・ファイナルとアジパシが同日である事が判明。アジパシはオーストラリアで開催の為、日本の都合なんか通るはずも有りません。PDCチャレンジの方も1年前から会場をおさえているので今更変更は出来ません。
清水だけでなくWDFの日本代表を目指している選手の多くは悩んだ事でしょう。そして一人一人がどちらに出るかを決めました。清水に関しては当初の目標通りPDCを目指す事に。アジパシを目標とした選手もいて、その選手達はPDCチャレンジの2回の予選には参加しませんでした。

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清水は5月の西日本予選で勝ち残りファイナルへの出場権を手に。昨年中盤から調子を落とし気味でしたが、その日はしっかり仕上げてきた彼を見て少しホッとしました。その後JSFDのサンクション大会にも出場し、2012年度のランキング2位になったのですがアジパシの方は出場を辞退しました。
それとは逆にアジパシを目標としていて、PDCチャレンジ・ファイナルに出場する事になった選手がいます。それがJSFD推薦で出場した広田俊英です。広田選手はPDCチャレンジの予選には参加せず、JSFDの大会に出場しアジパシの日本代表を目指していました。
しかし結果はランキング6位。日本代表は2位の清水が辞退をしたため、ランキング5位までが出場です。6位の広田選手はJSFD代表として同日のPDCチャレンジ・ファイナルへの出場を打診されます。当然ですが悩んだと思います。
彼がファイナルに出場する決意をしたと聞いた時には少々驚きました。それくらい今年の彼はアジパシにかけていたんですよ。そんな状況でしっかりとしたダーツを彼が出来るのか、非常に興味がありました。
ファイナルのトーナメント組み合わせですが、清水浩明は1回戦は不戦勝で、村松治樹と広田俊英の勝った方と2回戦から。悪くない組み合わせです。広田と治樹の試合ですが、どちらも今ひとつ乗れないまま4-0で治樹の勝利。広田はモチベーションが上がらなかったのか、雰囲気にのまれたのか、最後まで彼らしいダーツは見られませんでした。
そして清水浩明と村松治樹の試合です。昨年の清水は技術的に悩んでいる部分もあり、その上初めての舞台に飲まれていたのか全くいいダーツが投げられていませんでした。今年は2回目ですし、しっかりとやってくれる事を期待です。
治樹のスローから試合が始まり、清水の最初スローは95点。
彼が緊張していたり調子が悪い時は、1本目はダーツを置きにいきT20からだいぶ上に外れたS20、それを調整しようとして次は狭い方のS1に入るパターンが。

しかしこの時は腕もしっかり振れていて、T20付近にダーツがまとまった95点。
一回戦の治樹は良さそうには見えませんでしたし、最初のスローを見ただけで勝てるだろうと思いました。一緒に応援に来ていた同じテーブルの仲間にも「今日は大丈夫。多分勝てるよ。」と最初のスローだけで言うくらい確信が持てました。
ゲームは私の予想通り3-1で清水有利で進み、あと1レッグ取れば勝利の5レッグ目。治樹が先行でスタートし140、180で181残り。絶体絶命のレッグになってゾーンに入ったのか、それまでとは違ったダーツを見せはじめました。まだ清水は371点有ります。
ここで嫌な想像をしてしまうんですよね。相手がゾーンに入ってのり始めたこの場面、たとえレッグを取れなくても慌てさせるくらいに入れ返して、ゾーンに入った状態を切らないと駄目なんです。
ただ、清水の性格的に「次の先攻をしっかり取ればいいから」と気持ちを切り換えてしまうんじゃないかと。
やはり、その後のダーツは予想通り淡々としたものに。治樹の方も181残りから11本も使いまごついたダーツをしていたので、しっかりとプレッシャーをかけて欲しかったのですが。
そして先攻の6レッグ目は100点でスタートをして気持ちを切り替えていたのですが、ゾーンに入った状態の治樹は更に入れてきてブレイクされます。

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そして最後は追いかける展開の強みであっさりと14ダーツ・フィニッシュで村松治樹の勝利。
勝負は5レッグ目だったんですよね。試合後他の選手や関係者にも指摘されたようでした。気持ちを切り替えられるのが彼の良い所でも有るんですが、世界で戦うには相手をのせては駄目ですし、のってきた相手の鼻を折るようなダーツをしないとペースはつかめない。また勉強させてもらいました。
その他の試合に関しては一般の観客と同じ目線でさらっとですが。
榎股慎吾が橋本守容に勝った試合。
橋本選手に昔聞いたところ、試合で緊張する事はあまり無いんだそうです。もちろんいい意味での緊張感は有るんでしょうが、我々がよくある緊張して思ったようにダーツがコントロール出来ないなんて事はほとんど無いそうです。それがこの試合では緊張している姿が見られました。それだけ勝ちたかったんでしょう。榎股選手は負けたと思った試合を拾いました。これもダーツです。

藤森主税と勝見翔の試合。
この日のベスト・バウトでしょう。お互いに素晴らしいダーツをしていました。これを見たら勝見翔が優勝すると思ったのですが。

女子の試合は浅野ゆかりさんが凄すぎました。男子の試合に出ても十分いける内容です。そのモチベーションが「コーラーのラス・ブレイに180をコールして欲しかった」という純粋な想いで、それを実際に叶えてしまうんですから凄い人と言うしか有りません。

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そして、最後は男子の決勝戦。
試合前会場にいる人の誰に訊いても「優勝は勝見翔」の答えが帰ってきました。しかし結果は6-0で村松治樹の優勝。決勝戦の勝見選手は既に自分に負けていましたね。それまでの彼とは別人でした。一番前で見ていたので感じたのですが、治樹も途中から怒っていたように感じました。うーん、ダーツは難しい。

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全体を総括しますと、過去3回は年々レベルが上がるのを感じられたのですが、今年に限ってはそれはなかったですね。早くも停滞なのかなあ?日本人で試合でのアベレージが90点を超える選手は出てくるのでしょうか?そこからがやっとまともに勝負になると思うんですよね。村松治樹にしても、優勝したとはいえ良かったのは数レッグだけです。
本番までに更なるレベルアップが無いと、悲願の初戦突破は非常に難しいんじゃないかと思ってしまいました。日本人として、ダーツに関わる立場の人間として、期待しているだけに厳しい目で見てしまいます。

そう思いながらも、ゾーンに入った時の治樹はやはり日本一だと思っています。今年もまたPCの前で泣かせて欲しいですね(笑)。
村松治樹選手頑張って下さい!

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