Jinta_column_Top-20

No.20 熊本のダーツの人たち

2016年5月

Jinta_column_No.20-1

2011年3月11日の東北大震災では30時間かけて関東から宮城県の名取市まで車で津波に流されたLーstyleのメンバーを迎えに行きました。到着したのは12日の夜、目の前で土砂崩れも食らいましたし、津波や余震の怖さを目の当たりにしました。私は地震の恐ろしさを知っていますので何かしなければと思い熊本に向かいました。

熊本の地震がおきた時ちょうど香港にいました。ADAトーナメントでは日本人チーム大活躍でした。しかしその中の3人が九州勢で選手たちは地元を心配しすぎてどうしたら良いかわからない状況です。これはじっとしていられないと一週間の滞在を短縮して、大会終了と同時に福岡空港に飛びました。

今回伝えたいのは熊本の人の努力とダーツのコミュニティーの広さと強さです。

Jinta_column_No.20-2

Jinta_column_No.20-3

私が福岡空港に着いた頃には、友達が先に広島と福岡でワンボックスの車2台にいっぱいの物資を集めてくれていました。そして地震直後にはチームLーstyleの前嶋さんらが沢山物資を熊本に運び込んでいたのです。
しかしそれを避難所や学校などに配るのも大変な作業。それも征次郎さんと中心にダーツ界でボランティア団体を組み一生懸命活動していました。皆さんどう考えてもしんどい状況なのに、「ここは大丈夫だから、もっとひどいところが沢山あるからそっちにしてあげて下さい」とよく聞きました。九州の人って凄い!と思いました。

Jinta_column_No.20-4

私は何とか物資だけ届ければよいと思っていましたが、現場の状況を見たら帰る事が出来なくなり、3日ほどお手伝いをさせて頂きました。ホテルは全滅だったので個人でマンションのワンルームで開業しているセットサロンの一室に寝泊りさせてもらいました。初日は布団も枕もなくてとても寒かったですが、被災されている方を思うと部屋があるだけまし、二日目あたりで布団をゲットしたときは信じられないくらい嬉しかったです。

Jinta_column_No.20-5

すべてのダーツバーは営業が出来ない状況です。一回目の震度7の時点でグラスやお酒などが落ちてお店はぐちゃぐちゃになりましたが、次の日から一生懸命片づけたそうです。
何とか早く復活したいと頑張って掃除などしたところに2度目の震度7が来て、その心も折れかけました。水もガスも電気もなくては何もする事が出来ません。その時のみんなの気持ちは本当につらかったと思います。しかし熊本の人たちの凄いのはここからで、何も出来ないなら、自分たちよりひどい状況にある人たちのために何かしようと考えていました。
まずは水など最低限、生活に必要な手に入らないものをSNSで呼びかけました。すると大分の前嶋さんがトラックいっぱいの物資を集めて届けに行ったのです。この行動を見て後に続いた人は多かったと思います。水もない布団もないガスも電気もない状態が1日でもしんどいですので初動がどれだけ大事かということです。

Jinta_column_No.20-6

物資が届いた後もやることは沢山、まず届く物資はトラックやハイエースなどで来ますので、それなりの広さの置き場が必要です。
征次郎さん、輝さん、悠介さん達はサウナの一階を集積場所として提供してもらっていました。このサウナを運営されている方も営業できない状況の中で、場所だけでも避難してきた人に提供したいと自分の事を後回しに素晴らしい活動をしていました。
その後は物資の管理です。どんどん来る物資に対してこれを何処に届けたらよいのか、何がなくて困っているのかなど情報収集します。このようなボランティアをしているところが何か所かありましたので、情報交換をしながら行っていました。

Jinta_column_No.20-7

よく考えても実際他県から正式に来るボランティア団体はだいぶたってからなので、ここで活動している人たちはみんな自分の店も壊れてこれからどうしたら良いかわからない状態の人たちばかり、それなのに自分の事を後回しにして一所懸命活動する姿に感動しました。中には若いのに凄くかっこいいダーツバーを10日前にオープンしたばかりの人もいました。
私も微力ながらいろいろ手伝わせてもらいましたが個人の力に限界を感じて、前回ねじの特許の件で対談した港区の区議会議員、柳澤亜紀さんに物資を送っていただけないか連絡を入れました。するとすぐに何が必要か聞いてくれて港区から沢山の物資を送ってくれました。
それどころか熊本空港が再開されると同時に日帰りで被災地を見に来てくれたのです。見ないと何を送って何をして良いかわからないというのですが、その行動力に驚かされましたし頼もしかったです。こんな人が国政に参加してくれたらもっと段取り良くなるのですが…。
輝さんと空港に迎えに行き、益城市を視察してダーツ界でやっているボランティアの状況、現在のダーツバーをはじめとした熊本市の状況なども見てくれました。テントで避難している人たちに声をかけて少しずつ物資を配って被災地の声を実際に聞いてくれました。
これから復興支援に力を入れます、と言ってくれた言葉はとても心強かったです。
ガス、電気、水道が復活すればこのガッツと根性のある熊本の人たちは必ず復活してくれると実感しました。逆にここから先は何十年も大きな地震がない安全な地域になると思います。皆さんも是非復活し始めた熊本や九州のダーツバーに足を運んでもらいたいです。
後数年もすれば今まで以上に発展すると思いますが今が一番大変です。もちろん募金活動なども大事ですが、集客の面で足を運ぶことが経済を動かして復活の近道になると思います。
熊本のダーツチームは横のつながりも強く仲が良いです。お互い助け合っているのがわかって見習うところが沢山あります。
ここからが正念場でしょうが出来ることはやらせてもらいたいと思いますので、是非力を合わせて頑張ってください。
そして今回お世話になった皆さま、本当によくしてくれてありがとうございました。この御恩は決して忘れません。炊き出しで食べさせてもらったご飯、寝泊りさせてもらった部屋、本当に暖かかったです。
必ずまた行きますので再会できることを楽しみにしています!

L-style よろしくお願いいたします