KTM_column_Top-7

No.7 ちょっとブレイクしてる気になっている話題を

2012年11月

今年に入ってから、老舗のダーツバーが閉店になったり大手と言われていた企業が大幅な縮小を余儀なくされる等、この先のダーツ界は大丈夫なのだろうかと不安に駆られるニューズが多いですよね。
業界年数も長い事から、色々な方々から「ダーツ界はどうなるんでしょうねぇ?」というご質問やインタビューを受けるのですが、これにはいつもこう答えています。

「ダーツバーの数が、漸く正常値に戻るだけだと思いますよ」と。
数年前、ダーツ界は正に「ダーツバブル」だったわけで、それこそバーはマシンさえ置けば多い時にはその店舗の月額賃料分を稼ぎだし(この差分は、リースロケーションか買取店かで大きく変わりますね)ダーツマシンが所構わず設置されたと。
また、家賃が安いという理由で飲食経験のないオーナーさんが「ダーツ」をメインとして、見よう見まねで始めてみるといった事例も多かったですよね。
勿論、この増えた時期に今でもとても素晴らしいバーに成長していったものも多いですが、それと同時に「バーとして成立していないお店」というのは、悉く自然淘汰されていっている。
僕はお酒を飲まないので、「酒の質」というものはわかりませんが、その酒を飲まない僕でさえも分かるような粗末なメニューや料理、ひいてはスタッフの質等、「これは酷い」というお店を散々観てきました。
「飲食店はこれをやっておけばいい」という「最低限のこと」だけではなく、御客様が満足する、その店の特色や強みというものを持たない店は、必然的に淘汰されていくのは当然ですよね。

ダーツバーという小さなカテゴライズで見てしまうものの、飲食店として大手飲食店と競合しなければならない、そしてダーツとして大手のアミューズメント店舗と競合しなければならいというわけですから、その大変さは尋常ではない。
ビジネスにとっての必然的な摂理であるわけです。
当初、一気にダーツを嗜む御客様が増えて、バーは「待っていれば」御客様が来てくれた。それが回遊魚の様に一周回ると「どの店が居心地がよいのか」又は「楽しめるのか」という判断をする際に、やれあの店に行っては行けないやら、何故最近店に来ない等と言われたら、段々足が遠のいていくのは当然の事ですよね(笑)。
そして行ったとしても、他店には真似出来ないような素晴らしい料理やお酒が出るわけでもないのであれば、何の為にお金を使うのか分からない。そのような状態が続いたからこそ、今の「ダーツバー縮小」は落ち着いて考えれば当然のこと。
特に最近は、初心者の方やちょっと前からダーツを始めた方々には「ダーツバーは怖い」というイメージが定着してしまっているそうで。

それこそ、黎明期のダーツバーはスタッフが御客様と御客様を取り持ち、常連が増えていき、近くの店舗のダーツバーとの交流でより「ダーツ」という世界の楽しさを提供していた様に思います。
僕自身、ホームにしていたダーツバーから「あの店行くと面白いよ」とか「ちょっと一緒につき合ってもらえます?」と、そのお店だけではなく、色々と世界を広げてくれたスタッフがいたから、今の自分があるんだよなぁとしみじみ思います。

前から違和感を感じていたこと、「ダーツバーの立場の方が、御客様よりも偉い」という変な状況を垣間みる機会が非常に多いんです。
勿論、お店によっては「お客さんとフレンドリーな関係」を築けているバーも多く知っていますし、「ここダーツバーだよね?」というくらいしっかりしたお店も全国で色々拝見させてもらいましたが、今だに御客様に「ありがとうございました」ではなく「お疲れ~」だったり「また明日」的な、「???」という声掛けで済ませてしまう店の多い事。
これ、自分がダーツバーではない他の飲食店でやられたらどう思いますかね?(笑)。それこそ、直ぐにカッとなるタイプならば「店長呼んでこい」状態になりかねません。

なぜ「ダーツ」が絡むとこうも面倒になるのでしょうねぇ…
確かに色々なお店があるからこそ面白いのかもしれません。
例えば、御客様に非常にぞんざいな扱いをしたとしても、「ダーツの面白さ」を伝える事に関しては天下一品なオーナー。
こういう店は愛されるかもしれないですよね。但し、「ダーツの面白さ」を「ダーツ界のスキャンダル」とはき違えている人も多いですけどね(笑)。そうではなく、「こんな試合がとてもシビレた」とかTOO MUCHではない技術論や知識的な話とかですね。
とにかく、「未成熟な」ダーツバーが増えた。それが減って来ている。それだけのことだと思います。
ある時期から、ダーツマシンの設置がダーツプレイヤーの増加スピードを大幅に追い越してしまったことから始まったわけですから、「適正数に戻る」と考えた方が良いかもしれませんよね。
例えば「ダーツ投げたいなぁ」と思った時に、飲食がさほど変わらなければ、しがらみの少ない大手ダーツ店舗で台を占有して投げていた方が、せっかくのアフター5が無駄にならないと。「いや、あの店行けばきっと面白い事がある」「あの店でまったりしよう」「あの店で今日は投げるぞ~」と言った楽しい気持ちを持たせてくれるようなお店は今でも全国に沢山あります。一所懸命働いて、明日の仕事へのリフレッシュをさせてくれるようなお店。
これが食事でもお酒でも、スタッフとの会話でもなんでもいい。あのお店のスタッフとのダーツ対戦でも。
そして、最後に「来てくれてありがとね」「明日頑張って下さいね、ありがとうございました」と送り出してくれる店が素敵ですよね。

何かしら得るモノがある=お金を払う。
これが気苦労だけ背負ってしまったり、面倒くさいものに巻き込まれてしまったりが何かと多いのがダーツバーの現状。
「ダーツバー」の未来はあります。「自分たちは何を強みとして、御客様に提供出来るのか」を毎日考えて、それを提供し続ける。それが常連さんを作り出し、お店の安定に繋がるのではないですかね。
もう、待っているスタイルでは食べられない時代が来ているんです。素敵なダーツバーがどんどん増えて欲しいですよねぇ。

DARTS MANIAX