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No.9 ダーツの楽しみ方とは

2017年1月

ショップに来てくださるかたから、「最近○○さん見ないね」、「△△さんはまだダーツやってる?」というような話をされることがあります。

以前はあんなにダーツに熱心に取り組んでいたのに、今はやめてしまったという話もよく耳にします。やめてしまう事情も色々とあるでしょうが、ダーツが好きでなくなってやめていったとしたらとても残念に思います。
ダーツが続けられる理由の中で、「ダーツは楽しい」と思えるかどうかというのは一つの大きなポイントだと思います。では、「ダーツの楽しさはどこにあるのか」という点について考えてみました。
僕が20代前半のころ、まだダーツショップの店員になる前の話ですが、「ダーツは真剣にやることが長く続けるための楽しみ方だ!」というのが僕の持論でした。「ワイワイやっている人のダーツは長続きしない」と言い切っていた時期があったんです。

しかし、それを当社の社長に話した時、「それはお前の楽しみ方だろ」と一蹴されました。今では社長の言っていたことはもっともだと分かるのですが、僕は正直納得できませんでした。

以前、社長がダーツバーを始めたきっかけというのを聞いた事があります。「飲みに行ったあとの2次会の遊びが決まってカラオケというのが嫌だった」ということでした。2次会の「遊び」の一つとしてダーツを提供しようとお店をはじめた社長に、「ダーツを真剣にやらなきゃだめだ」という僕の偏った考え方は相容れなかったと思います。

今でこそ「ダーツの楽しみ方はいろいろあっていい」と考え、ダーツを深く追求する楽しみ方やスポーツ、趣味の一つとしての楽しみ方など、幅広くダーツの楽しみ方に向き合えるようになりました。

どんな形であれ「ダーツが楽しいかどうか」ということは長続きするかという上では重要な事だと思います。
僕自身が長くダーツを続けていられる理由は何かと考えてみると、おそらく「新しい発見があるから」だと思うんですよね。毎日ダーツのことを考えていると、小さな発見も大きな発見もあって、その発見があったときこそが楽しいと思える瞬間だったりします。
しかし、ダーツが苦しく感じる時もあります。ダーツが好きで仕事に選んでしまうほどなのに、自分のイメージするダーツが投げられない、思い通りにならない時など、ダーツのことを考えるのも嫌になってしまうこともあります。目標を達成するまでのプロセスは楽しくないかもしれません。それでも目標を乗り越えていく過程で得られる新しい発見、喜びを得た経験など、楽しい部分も苦しい部分もすべて身に付けていきたいと思っているからこそ続けてこられたと思います。

こういった自分を追求していく楽しさは、長くダーツを続けるための要素の一つだと思います。ですが、遊びの一つとしてダーツを楽しんでいる人にこんな話をすれば、「ダーツってそこまでしなくちゃだめなの?」と引かれてしまうかもしれませんね(笑)。
ここまでの話を読むと、ダーツの楽しさは自分の中だけにあるように受け取られるかもしれませんが、ダーツには自分自身だけでは得られない楽しさもあると思います。
例えばダーツバーやダーツカフェにはそれがあるのではと思っています。

僕がダーツバーに行く時のお店を選ぶポイントをいくつか挙げてみます。①ダーツの話を聞きたい・投げたいなど「会いたい」と思う人がいる②何か食べたい料理がある③僕のダーツの話を聞いてくれる人がいる(笑)…といったところでしょうか。
ただ、「ダーツバーに行けば必ず楽しめる」というわけではなく、そのお店のルールやマナー、人間関係など踏まえて、楽しむ努力が必要なこともあると思います。もちろんスタッフさんは楽しませようとしてくれるのですが、「楽しもうとしないと楽しめない」のは、ディズニーランドを例えに出せばわかりやすいのではないでしょうかね。

僕自身、ダーツバーでワイワイとダーツをするのは得意な方ではないんです。輪の中心に入っていって一緒に盛り上がるよりも、ワイワイとしているのを「盛り上がってるなぁ」と遠目で眺めているのが好きです。

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ダーツバーでは、初めて会った人と試合をすることもあります。それだけなら「オンライン対戦と一緒じゃないの?」と思われるかも知れませんが、対戦相手が目の前にいるというのは緊張感がまったく異なります。一人で投げている時には気にもとめなかった、ダーツを投げるタイミングや試合展開、ギャラリーの歓声など、新しい発見があるのも楽しみ方の一つではないでしょうか。

自分の成長や新しい発見に喜びを感じる楽しさも、ワイワイと人と一緒に盛り上がって楽しむことも、どちらもダーツの楽しみ方の一つであることは間違いないですね。

ダーツをはじめるきっかけは、「友達に誘われて」、「ネットカフェで投げている人をみて楽しそうだったから」、といったかたが多いのではと思います。いきなり「賞金がほしい」、「大会で優勝したい」と思うかたは少ないのではないでしょうか。これらはダーツをやっていくうちに色々後からついてきたものだと思うんです。

ダーツは、やってみるまではよくわからない難しそうなモノだけど、やってみるとブルに当たった音や投げた矢がボードに刺さる感じが快感に思えてきて、矢を投げるだけの簡単なものなのに、なかなか上手くいかない。でもブルに入った時のあの音は衝撃的で、もう一回鳴らしたいって思わせますよね。

この「上手くいきそうでいかないもどかしさ」と「ブル音を鳴らしたい」、つまり「狙ったところに上手く刺さるようになりたい」というのが純粋なダーツの楽しさの本質だと僕は思っています。

本来はゲームですから、そこに勝ち負けや優劣があるのは当たり前です。純粋に楽しいと思って始めたダーツのスタートから、「もっと上手くなりたい」、「大会があるのを知って出てみたい」、「入賞したい」など、だんだん続ける理由みたいなものがいい意味で変わり、増えていくものだと思います。

仲間内で飲みながら楽しい時間をダーツバーで過ごしたり、トッププロに会いに行き、生で試合を観戦して感動したりなどの目的でダーツを楽しんでいる人もいると思います。

また、ダーツの道具に興味が湧いて、いろいろなバレルを集めたり、さまざまなセッティングを試し、深く追究して楽しんでいる人もいます。
ダーツは続ければ続けるほど、いろいろな楽しみ方や遊び方がたくさん増えていくスポーツだと思っています。

ダーツにさまざまな楽しみ方があることを理解した上で、ダーツショップやダーツバーなど、それぞれ違った楽しさを提供し続けることで、ダーツはまだまだ広がっていくと思いますし、広げていきたいと思っています。