2013年7月
プロ団体を運営するというのは、スゴいお金の掛かる事で「この業界のどこにそんなにお金があるの?」って心配になってしまうくらいに、色々な部分でお金が掛かっているんです。
プロの賞金を毎回出すというのは、いつ終わってもおかしくないくらい、実は非常にギリギリの状態で運営されているのは周知の通り。
プロが大変で色々と手が回らないのは重々承知の上で、敢えて苦言を呈するとすれば「プロモーションの空洞化」が起きていますよね。
ダーツを始めた人が、真剣に目指そうとプロに照準を設定するのは良い事ですが、何事にもステップがあるから余計に面白くなる訳で。
このステップの途中が「スッポリ」と抜けてしまっているのが現状のダーツプロモーションではないでしょうか。
例えば、今週週末が空いているから、どこかのハウスにでも参加したいなぁと思ったとしても、なかなか情報が得られない。
大きな大会でさえも、エントリー方法というのは初心者や初めての人にとっては「分かりにくい」部類に入りますよね。
色々なボードメーカーや業界のサイトを見ても、分かりやすく丁寧にエントリー方法やその他をアドバイスしているサイトは皆無。
こういうことが制定されれば、大会の集客数というのも増えてくれると思います。
更には、大会会場での初心者が困ったときのインフォメーションサービスとかあってもいいですよね。
10年くらい前に「大会とはこういうもの」というのが出来上がり、実はあまり変化がないのがこういう部分。
勿論、各大会で試行錯誤はなされているんですけど、「大会小冊子」とかを配れれば、当日のトラブル等も大きく減ると思います。
各団体が切磋琢磨しているのは素晴らしい事です。でも、こういう根本の部分で団体共通のものが作れたりすれば、全体的な集客が上がる見込みがある。
今、大会がやるべき事は、その大会での「イベント」ではなくて非常にシンプルな「例え初心者がいきなり大会に参加したとしても安心してプログラムに参加出来る」システムの構築が最優先だと思います。
実際に、このシステム作りをしたとしても、そんなに大金が必要なわけではないですし、小冊子を作る費用はサイトを示すURLのポップで充分。
エントリーでさえ、この業界のタブーとされていますが「WEBエントリー」を大々的に採用しても良いのではないかと思うくらいです。
これが出来ないのは、単にロケーションサービスのネタがなくなって来ているのが原因で、このロケーションサービスも各社が特色を出せていれば、金額の叩き合いにこんなに早く突入する事もなかったはず。
もし、もう一度体勢を立て直すとするならば、この空洞化をしっかり埋めて行くプロモーションが必要となってくるわけです。
上記に示したものは、正直そんなに難しいものではないですし、その気になれば一週間もあれば出来てしまうものでしょう。土台作りがしっかりしていないものをあれこれ着飾らせたとしても、ユーザーはしっかり気づくと思いますからね。
このまま、目立つ部分ばかりを強調して行くプロモーションは業界の破綻を招きかねません。
今、「ダーツ」というものは「ある程度、把握している人が楽しむもの」なんですよね。今日いきなりダーツを始めた人が「大会」までの簡単なインフォメーションを理解するには難しい。
それが「複雑」ではなくて、「必要なインフォメーションとプロモーションが全くない」だけ。
「どこそこで大会をやります→ポスターはこれです→大会のエントリーフィーはこれです」だけなのは頂けない。
これでは「大会出ると何が楽しいのか?」「どういう楽しみ方があるのか?」が全く分からない。
そして大会の「中身」についても考えて行きましょう。
大会というのは、勿論成績も重要でしょう。しかしながら、「大会に参加しました→負けて帰ってきました」というルーティーンが継続されれば、段々大会参加への足も遠のくはずです。
昔ながらのサイドシュートを利用した「輪を広げるアシスト」を大会スタッフが演出したり、プロとの交流の場を設けたりと、今直ぐにでも出来ることが沢山ある。大きな目玉イベントは出尽くしている訳ですから、これからは「一手間」がしっかり出来ている大会が必要。
大会に参加した事で、何か一つでも「お土産を持ち帰ってもらう」気持ちが次の集客に繋がるのではないでしょうか。
プロ選手だって、「オレらはプロで賞金稼ぎに来てるんだ」と言える状況ではないことを理解する必要がある。来年も同じ賞金だとは誰も保証してくれません。自分たちがもっと稼ぎたければ、もっと裾野を広げる行為を行なわないと、最終的に自分たちに跳ね返ってくるわけです。
大会を開く事に、大会に参加「させる」ことに慣れて来てしまっているんではないでしょうか。
続いて、レギュラープレイでのプロモーションについて。
これも色々と試行錯誤しているのは重々承知しています。特に今の状態では色々な制約に縛られる可能性もあるので、とてもナーバスな問題であると思いますが、抜本的な改革をしない限りは飽きられてくる可能性が高い。
ここで先に上げた「ハウストーナメントのインフォメーション」は最低限の事で、その他に毎日とは言わずとも必ず週に一度「外で」投げたくなる環境を作れているのかと言われれば頭を傾げる。
「家投げ」と「外投げ」の満足度が変わらなくなってくれば、家投げの比率が高くなるのは当然。
外に出て投げてもらうには、正直プロモーションとしては非常に弱いものばかりが目立つようになってきているのは誰もが感じている事でしょう。
これを「地域で活性化」されるのか「ディーラーが行なう」のか「ボードメーカーが提供する」のかは別、とにかく誰かが何かしないと危険な時期に来ています。
ここで「リーグ」というシステムに目がいくと思いますが、確かにリーグというシステムは素晴らしいシステムであると思います。
しかしながら、これが全てを取り込めるシステムかと言われれば違い、この他にあと最低でも二つのシステムがなければ、「ダーツ離れ」していく人口を加速させることになると思います。
この「あと二つ」とは、「一人でも参加出来るシステム」と「有効な時間活用に対応したシステム」。
一人でも参加出来て、ちょっとの勇気で輪に参加出来て、一体感が感じられるもの。そして、自分の時間に制約が掛からず空いた時間を有効活用出来るものであること。
「ダーツ」とはこういうものという概念を取り払うと、意外と簡単に思いつくと思います(笑)。
今の大会運営には、正直あまり興味がありませんが、こういう細かい部分を改革するという作業は面白そうですよね。
とにかく、せっかく多くの趣味の中からチョイスしてくれた「ダーツ」を辞めないで欲しいですね。