No.47 最近、スポンサー契約の場に立ち会うことが…

2019年7月

この20年近く何十人もの人とスポンサー契約というもので会ってきましたが、僕の場合には「縁」というものを大事にしています。
決まる時って異様に早いんですよ。なので、もたついた契約は基本的に「縁」がなかったものとしてスルーします。
今ではアドバイザー契約をさせてもらっているブランドが新人選手にしても、相当いい契約条件を提示出来るものにしてくれているのでリクルートする時にも非常に後ろめたさがない。
というのは、プロだけではなくアマチュア時代からでも契約可能にしてもらっていて、まぁこれは勿論最終的にプロ資格を取るという約束がありますけど。
それでもそのブランドへの貢献度というものを試合結果ではなく評価してもらえるので、選手の個性が活きる可能性が高いこと。「飼い殺し」になりにくい。
その選手がブランドに対して、発言しやすく対等な立場で居られる状態になることがお互いに良いことだと思うので、雇い主と従業員の関係ではなくなる。
トップ選手ならば、手厚いサポートと年間の契約金が提示されますが、新人時代にはサテライトという都合の良い名前の「青田買い」か用具契約という名の囲い込みが多いのが実状。
勿論、商品を販売したら高いロイヤリティや結果による報奨金、年間での成績で金銭契約にスムーズに移行してくれるメーカーもありますが、ほとんどが金銭契約なんて上の選手でさえ皆さんが想像している金額よりも遥かに安い金額で契約していることが多いです。

勿論、プロですので結果も重要ですけど、ビジネスの部分で鑑みるとそのグループの中に色々な役割を持った重要なポジションだったりってありますよね?
スポーツで言えば、ポイントゲッターだけではなくてちゃんと目に見えないディフェンスもしてくれる選手も必要だということです。
全てがオールラウンドなチームであればなんら問題はないんですけど、ちゃんとベンチメンバーも層が厚くないと行けないんではないかと思います。
新人さんは最初はベンチスタートの場合が多いので、どちらかというとないがしろにはされないにしても「様子見」な部分でそのブランドの中でも注目されにくい。
なので、費用は出来るだけ抑えられたら抑えたい。
ビジネスとしては当たり前の考えで、全体的なチームを運営するという立場であったら、そう考えるのは当たり前でしょう。でも、その一歩先でこの新人さんたちを上手く活用してあげて、即戦力にする役目はブランドの役目。例えば、優勝回数が何回かあってもシグネイチャーモデルが全然売れていない選手なんて沢山います。
これは選手の魅力を引き出していないブランドの力量の無さと思ってしまうんですよねぇ、僕の場合。
だって、優勝って大変ですよ(笑)。その偉業を達成したにも関わらず「いまいちパッとしないんだよなぁ」なんて声を聞くと「プロモーションが悪いからだろ」って思ってしまいます。
数回の優勝では正直記憶に残らないですし、ファンというのもそんな簡単につくものではない。ここでそのブランドの力が発揮される。
今はSNSに頼りすぎていて、それも簡単な手法での拡散が当たり前になってきていることと、どのSNSが今旬なのかというのはあっという間に変わっていきます。それを一回覚えた手法を繰り返していたのでは段々とスルーされますよね。
広告手法と宣伝部材とは切り離して考えて欲しいんですけど、明らかに広告手法が古い。
テレビが死んでいるのに、今だにテレビ出たらすごいと思っているのと一緒。今だったら、カリスマYouTuberに呼ばれた方がどれだけすごいことか(笑)。
特に「マイナー競技」なダーツなので余計にその辺は敏感になっていないといけないんですけどね。
匂いを瞬時に感じ取れるのが上手なブランドは伸びますし、古い手法で繰り返し「伝統芸」のように形を崩さないブランドは衰退する。
エポックメーカーであれば、その伝統芸をやり続けても良いんですけどね。後発ブランドはそれでは追いつけない。それは時間の差を埋められないからですね。信用と変わらない安定感というものに。

新人さんたちはそれを見分ける「目」と「嗅覚」が必要となってきます。但し、そのチャンスはそう何度も来ないんですよね、実際。ここだというブランドがあったら何が何でも入り込む気持ちで行かないと、順番待ちしている人はそういうブランドには他にもいますからね、目をつけている選手が。
こちらが右も左も分からない新人さんに丁寧にチャンスの時期を教えていても、それを逃していく人もいます。
であれば、僕の場合にはそこに労力を掛けたくないし、それだったら今所属している選手を如何に有効的にプロモーションしていくかを考えた方が時間の使い方としては正しいと思っているので、追うことはありません。待っていると、日頃ちゃんとしていれば良い素材の選手は必ず目の前に現れると思っていますから。
魅力的なブランドにして、「どこ入っても大して変わらない」と思われないようにしていれば。
そして、そのセンスの選び方に関しては、「順番」というのがありませんから素材が良かったりアピールの仕方が上手かったりした新人さんが、言葉は悪いですけど「横入り」してきます。
ブランドとしては順番は関係ないですから、よりアピール度がわかりやすい方を選びますよね。全然就職活動と変わらないんです。
引く手数多の期待の新人さんや既にファンを獲得している選手ならば選び放題でしょうから、条件で選んでも良いと思いますが、そのブランドの将来性とかも考慮した方がいいですね。
大きなブランドだからといって、自分をフューチャーしてくれるわけではなかったらいつまでもベンチを温めていないといけないですし、金銭契約なんて上が詰まっているのでまぁ気の遠くなる話ですしね。その間に旬が終わってしまう可能性だってありますから。

ブランド側も焦るとあまり良い選手は来ないでしょう。特に今は女子市場ですから、可愛いから抑えておこうとかたまたま成績出たからと直ぐに声掛ける前に「市場調査」しとくのがオススメ。
狭い世界なので、1〜2日で大体の情報が集まってきます。それから動いても遅くはないです。自分たちと「縁」があれば、必ず選手として獲得出来ますから。
まぁ飽く迄もこれは僕の考え方であって一例に過ぎませんけどね。
僕の場合、評判いいだけでは取りません。悪い噂も入ってくると興味が湧きます(笑)。アンチがいるということは注目されているということなので、ひっくり返る可能性を持っている。
そして、実際に話を持っていくときにはかなりの情報量か実際に会ったときに、深い話を色々と聞きます。そこで面白いかもと思ったら、「まぁ考えてみて」と一回相手に委ねます。そして、どれくらいの早さで決断してくるかで決めるようにしています。早いということはそれだけ面白いと思ってくれたということですし、その選手の中で興味度が高いということですから。
これが大体2日くらいかな(笑)。僕の経験だと。それ以上は他のブランドと品定めしているか躊躇しているということなので、契約しません。
今まで一番遅くて48時間でしたね。この48時間はレアケースというか、ブランド内で立場を任せるというベテラン選手への定時だったということと、僕のチームの作り方を理解してもらうためにはそれくらい時間がかかるだろうと。重要なポストを与える場合でしたから。
選手契約とは別に僕のやり方だと「選手管理契約」という新人さん育成係もやってねという別の契約も発生する選手がいるので。その場合には契約書が2枚(それぞれに金銭は当然つきます)になりますし、選手として何らかのトラブルや問題でダメになっても管理契約の方は活きる仕組みになっているので、よほど信頼がないとこの2つの契約条件を提示しませんけどね。
後はほとんどが即決か数時間以内で連絡が来ます。これが「縁」のある選手と判断します。そうなると入ってからどうやって活かそうか練ります。
人数が少ない状態だと一気にというのが出来るのですが、選手が多くなるとパズルを組み立てる感じですかね。
選手を取って満足して終わりじゃないんですね。例えが失礼かもしれませんが活きの良いネタが入ってきたら、どうやって調理しようか考えるということです。
置いておくだけではその素材は腐ってしまいますからね。こちらがちゃんと調理してあげないと、特に新人さんに関してはまだわからないわけで道を示してあげないと。
僕の場合、完全にFAになってからでないとオファーしないので余計に「縁」を信じているんだと思います。
他者と契約中に話を持ち込んだりはルール違反だと思っているのでやりません。なので、FA市場からだけ取る感じですかね。例外は…向こうから来年度契約しないのでうちに来たいと話が来たときには、辞めてから正式な話をするようにしてはいますが、まぁ大体内情は向こうも知っているでしょうからスムーズに事が運ぶパターンかな?
でも、あまりというか過去にほとんどないんじゃないかな?
約2年半前にアドバイザーを受けた2社だけでも現在選手が合計すると30名近くいるので、今はよほどがない限り取りに行かないかな。
まぁ、クライアントが増やしたいと言ったらそれに同調するしかないですけど、手一杯です(笑)。