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No.30 日本以外の国に呼ばれてレッスンを開催するなんて

2016年9月

まさか自分が日本以外の国に呼ばれて、ダーツのレッスンを定期的に開催するなんて全く思っていなかった10年前。言葉の壁が一番の問題点だったのですが、レッスンを重ねていくうちに「いつか海外でもレッスンする機会があったらいいなぁ」と5〜6年前から、なんとなく頭の中で妄想していたんですね。
今年の夏前に、Facebookのメッセンジャーで台湾の方から連絡が。それが後に私の台湾レッスンでなくてはならない存在である鄭義盛さんだったんですね。
丁寧な日本語の文章で、台湾でレッスンを開催したいとのこと。最初はどこの誰だかわからない状態で、一瞬戸惑ったのですがちょうどDeepit Labo.で一緒にレッスンしていたトモヤ(津村友弥プロ)とキーやん(木山幸彦プロ)が前から面識があったらしく、彼らの推薦もあり「ぜひやらせて欲しい」と返信。こちらとしては数ヶ月後かなと思っていたんですが、わざわざ日本にまで出向いて頂き、あっという間にレッスン日が決定(笑)。縁というのは本当に面白いですよね。本当に早いタイミングでササっと決まってしまうものですよねぇ。
意外とそういう流れというか、タイミングを気にするタイプなので「あ、これは何かにつながるキッカケなんだな」と初めての海外でのレッスンの不安感よりも期待度の方が非常に高い状態で、台湾行きを心待ちにしておりました。
もちろん、言語の壁を出来るだけ解消しようと、色々な道具を用意して「視覚で瞬時に理解してもらえるように」、100円ショップからAmazon徘徊を繰り返し、レッスンで使えるものはないかと必死で探す。これが、普段のレッスンにも生きてきますし、本来ダーツグッズ以外の道具でわかりやすく、そしてイメージしやすくしておけば、受講者の方達も難しい表現の中から模索していくよりスムーズに上達のきっかけを掴んでくれるのではないかと。
そして、いよいよ台湾へ向かうことになったわけですが、香港や中国のダーツ事情に関しては頻繁に行っていた時期があるので、その延長線上にあるのかな程度の予測で行ったのですが、いやいやかなり日本に近い状態でビックリ。
香港や中国は、僕が行っていた時代はイギリス寄りなイメージでゲームフォーマットもかなり日本とは違うものが流行っていたりしたんですが、さすがダーツライブ社のマシンやHIC社のマシンが流入しているお陰か、ほぼ日本と変わらない状態。
レッスンをしていても、非常に真面目に受けてくれていて、質問は随時してくれるしこちらもやっていて楽しい。更には、僕がニュアンスの難しい話をしても、それをほぼ完璧に通訳してくれている鄭さんの通訳力にただただ感謝!台湾で初めてのレッスンを行わせて頂いた時に、ちょうど台湾在住の木村さんという日本の方が受講してくれていて、その通訳の正確さに感嘆の声を上げていたくらいです。
これで不安だった言語の壁は完全に取り払われ、ここからはいつもの調子でレッスンをすることが出来ました。唯一、今でも辛いのは全体的な説明の時には通訳してもらるのでいいのですが、ほんのちょっとしたアドバイスをしたい時に一人ではどうにもならないこと…。
いちいち鄭さんにお願いしなければならないので、鄭さんは僕以上に大忙しなんです。それも、同じことを何度も説明しないといけなかったりするので、相当な忍耐力が必要(笑)。これは徐々に僕も簡単な北京語なのか英語がご理解頂ける受講者の方ならば、鄭さんの手を煩わせることなく進むように修正していく改善点でもありますね。
いずれにしても、これほどまでに真剣にダーツに取組んでいる方が沢山いるとは嬉しいですよね。
そして上達して日本のツアーを目標にしている選手も多く、改めて日本のダーツマーケットは色々な意味で頑張らなければならないなと。
つい、日本の中だけで考えてしまうのですが、実はしっかり海外からの視線も常に浴びているわけで、こちらでのレッスンも決して単調にならずに、常に変化をつけて、そしてもっと理解しやすくそして誰でもすぐに頭の中にインプットしてもらえる方法を模索していかなければなと思っています。
これから1年間台湾でのレッスンを継続させて頂くことになっていますので、僕の今まで得た知識と経験を全部渡せるくらいのレッスンをしたいと思っています。
これだけ毎回同じことを通訳してもらい、同じ食事をしてまた一緒に台湾ビールを飲みながらダーツについて語り合うという、非常に濃密な時間を共有している鄭さんは間違いなく、本人が望まなくとも僕のれっきとした徒弟(弟子という意味)ですね(笑)。
そして、毎回来て頂いている受講者の方もいらっしゃるので本当にレッスンをやっていて良かったなぁと思います。実際、一箇所でなく(例えば、台湾であれば台北で行うのが一般的)現在は台湾全土の各地域を回っている最中。
台湾は比較的移動が楽だとしても、車で2時間は掛かる場所にわざわざ来てくれていたりと本当に感謝のしようがないくらいです。
台湾のダーツプレーヤーのポテンシャルは相当高い。これは、本当に驚いたことでアドバイスしたことを比較的簡単にクリアしてくれる人が多いんですね。経験の差から、まだ日本の同程度のプレーヤーと対戦したら勝率は悪いかもしれませんが、これに自信と経験が付いてきたら…。

僕はかなり台湾のプレーヤー達に期待しています。彼らが台頭することによって、韓国勢や香港勢も黙っていないでしょうし、そうなるとアジア圏でかなり面白い展開が待っているのではないかと今からニヤけてしまいそうです。
アジアという大きな括りで見ても、まだお互いの連携が取れない状況で表立った大きなイベントや大会、そしてランキングに至っても整備されていない状態。アジアランキングなんてあったら相当面白いと思うんだけどな…。
これが、実力が徐々に伯仲した状態になれば、まだ先を行っている日本のプレーヤーレベルも追いつかれることによって、また世界に通用するレベルに上がっていくと期待。
これからまだまだ台湾に行く機会があるので、本当に楽しみです。そのレベルアップに微力でも協力出来れば嬉しいなと思っています。
何度も言いますが、鄭さんの語学力と企画力がなければこんな楽しいことも実現しなかった。そして、場所を提供してくれる店舗のオーナーの皆様、そして参加してくれている受講者の皆様に心よりお礼申し上げます。
この文章も鄭さんがトランスレートしてくれるでしょう(笑)。

DARTS MANIAX