Sakai_column_Top-32

No.32 PDC 東京ダーツマスターズ

2016年7月

7月6、7日に開催されたPDC東京ダーツマスターズに行ってきました。
前年に続き2回目の日本でのPDCですが、やっぱり凄かったですね。興奮しっぱなしでした。個人的には1日目の平賀さんカッコ良かった。普段静かに見ている方ですが、立ち上がって大声出して応援しましたね。
2日目は今年に入っての結果通りの勝敗でトーナメントが進みゲイリーが優勝。世界チャンピオンの名に相応しい素晴らしいダーツを見せてくれました。

やっぱりPDCは凄いなあと思ったんですが、2回目の大会は大小様々な問題がありましたね。会場に行かれた観客の多くは多少なりとも、それぞれ不満を持たれたと思います。
その主だった原因は今回のイベントはそのほとんどをPDCが運営した為ではないかと私は思っています。
LーStyleの赤井さんの大会後のフェイスブックによりますと、今回PDJが関わったのは「チケット販売」と「物販ブース」だけだったそうです。会場内にテーブルが置けない事や、飲食ブースの粗末さ、観客の声援やコールに対する注意があった事等、もう少しPDJ側に任せてもらっていたら何とかなったんじゃないかと思います。
パートナーとして準備をしていたら何も手伝わせてもらえなかった上に、日本人選手や観客に対するクレームを厳しく言われたPDJ関係者の方々の心中を察すると言葉もありません。
でも、PDJの皆さんは前向きに来年に向けて、日本人観客の意見をPDCに届けていきたいと言ってくれています。
我々観客も含めてもっといい大会になるように意見を伝えていきたいですね。

今回はPDC側の意見を中心に書いていこうと思います。PDJの関係者の方々も表向きには発言出来ないでしょうし、本誌の編集長も書き難いでしょうから。
選手のインタビューや福永さんのブログにも書かれてる事があるので読まれた方も居るかもしれませんがお付き合い下さい。

観客の声援に関して控室で怒っていた選手が数名いました。インタビューで不満を口にした選手もいます。
でもこれは観客はあまり気にする事ないんじゃないかなと思います。
もちろん投げるタイミングで大声を出すのは気をつけなければなりませんが、昨年よりも雰囲気が良くならなかった一番の原因は、テーブルがない事が静かな会場を作ってしまったからではないかと思います。
昨年の自分の事を考えてみると、ステージ上のダーツに注目しているのは勿論なんですが、試合中も2割弱くらいはテーブル越しに向かいの席の仲間と喋っていたと思うんですよ。それは私だけでなく多くの方がそうだったと思います。必然的に会場内はざわざわした雰囲気になり声も響きにくく、声援も出しやすい雰囲気でした。
でも今年はステージの方を向いた椅子に座ったら映画館に居るのと同じ状態です。基本が静かになり、声を出すと響き過ぎ、追随して声を出しにくい状況に。イギリスでのPDCの観客に比べると人数が1/4以下ですからね。
その上、立ち上がったり声を出したりしていると、セキュリティー風の黒人に注意受けたりしていましたね。
静かに見ちゃうでしょ、あれじゃあ。もう少し慣れていく事は必要でしょうが、仕方なかったんじゃないかなと思います。

「日本人が弱すぎる」と選手・PDC関係者・バレルメーカーの方・スポンサーが言っているという話を何度か聞きました。
こればっかりは如何ともし難い。日本人選手が普段から頑張っているのは分かります。でも、向こうからの目で見たらPDCのトップの成長の方が日本人選手の成長よりも大きいから、その差は広がる一方だと。そう言われると確かにそんな気もします。
数字的にもPDCは年々上がっていますが、PDJの出来た頃よりは日本人選手もレベルが上ったとはいえ、ここ数年に関して言えばグッと伸びた感はありません。
アレンジが出来ていないと多くの関係者が言っていたそうです。日本人が意識するよりももっと前の数字からアレンジを意識して、残したくない数字にならないようにダーツをしているんでしょう。

少し目線を変えて東京ダーツマスターズに対しての見方を考察してみましょう。我々日本人の立場からすると、「PDCが日本で見られる」「日本のトップ選手が世界のトップ選手にどこまで挑めるか?」そんな期待と注目をしていたと思います。
しかしPDCの選手の立場で見たら、昨年よりも賞金額の大きくなった本番の舞台です。多くの選手が1週間近く前から日本に来て調整をしていたそうです。
自分達との意識の差を選手達は感じたのではないでしょうか。でも、選手の立場から見たら賞金に近づくんだから問題ないんです。
問題はPDC関係者及びスポンサーの立場で見た場合。16人のトーナメントで選手間に力の差があると、ギャンブルとしては失格です。ブックメーカーからクレームがあるそうです。ギャンブルになるって部分はヨーロッパでのプロスポーツでの大切な部分です。
ただ、これは日本だけの問題ではないんですよね。日本の前に開催されたニュージーランドも中国も取ったレッグは日本よりも多いですが、数字を見るとより悪い状況です。
来年以降もワールドシリーズはあるとは思いますが、地元出場枠の変更等大幅な変更もないとは言えないかもしれません。
そしてもっと困ったのは、東京ダーツマスターズのメインスポンサーであるフィリピンのジパングカジノの関係者が1日目つまらないからと途中で帰ってしまったらしい事。今年ジパングカジノが支払ったスポンサー料は1億円とも言われています。
PDCのイベントはメインスポンサーの存在が必要不可欠です。来年以降の開催を考えると大ピンチです。ただ、2日目に心配になった編集長がジパングカジノの方に取材したところでは、来年以降もスポンサーになるつもりだとは言ってくれたようです。
この東京ダーツマスターズというイベントが日本人選手8人が出場し、日本で開催しているにもかかわらず、収入の大半は海外からの物です。我々からすると日本人の為のイベントですが、PDCから見たら日本でやっているイベントです。選手や関係者が、普段と同じレベルの試合や観客の盛り上がりを求めるのも最もなのかもしれません。

それをふまえて日本人選手がPDCのトップ8に勝つ為にどうしたらいいのか?
PDC関係者に言わせたら「ソフトダーツはやめてイギリスに来て修行しなさい」になると思うんですが、現実的に仕事を捨てて収入もなくイギリスに行くのは困難です。それに現在のイギリスは外国人の入国審査が厳しい国で、特に長期滞在は難しいです。一番の道ではありますが、難しいでしょう。
ソフトダーツをやめるって部分だけでも、日本でダーツで収入を得ている人のほとんどがソフトダーツからですからね。ソフトとハードの両立が難しいとはいえ、簡単に捨てられる部分でもないですしね。
他にはと考えますと、もっとPDCチャレンジのような出場する選手のレベルが高く競いあえる大会を増やす事でしょう。ただ、賞金もない大会にレベルの高い選手が出るのはPDCに出るチャンスがあるからです。
東京ダーツマスターズの3日後にJSFD主催のLーStyle ジャパン・オープンが開催され、海外からの招待選手も含めかなりレベルの高い参加者による大会になったようです。
ジャパン・オープンは賞金もありWDFのポイントも付く国際大会で、イギリスで開催されるBDOワールド・マッチプレイの出場権も付きますからスポンサーも付いていますが、なかなかその他の大会で冠スポンサーになってくれる企業もないでしょう。
とにかく競いあえる場が増えないとね。

それ以外だと、ちょっとズルになるんだけど一つの案として、1日目のチケットは一般発売より前に出場選手に販売してもらってはどうでしょう?
まとまった席を50枚くらい、声出して応援してくれる人達に。事前にコールも決めて盛り上がって。選手も練習しているんだから、応援団も練習です!
日本人選手の試合を見ていても日本でやっているのにPDCというアウェイの場でダーツをしていて、PDCの選手は普段のステージでホームかのようにダーツしていると思うんですよ。
それを声援で日本人選手がホームで、PDC選手がアウェイになるように。その為にはコールの練習も必要ですし、選手のホームタウンから人が大勢来るように。遠方の人には動画サイト使ってコールの動画を見て練習してもらうとかね。
PDCの選手に試合後「あのムカつくくらいの声援は何だ!集中してプレイが出来なかった!」って言わせるくらいに。そのくらいの地の利があってもいいと思うんですよ。
それに、1日目の方がチケットが残る現状は、PDC的に地元選手不要な方向へイベント改正されかねませんしね。
せめて日本だけでも1日目のチケットがバカ売れして、凄い盛り上がりって状況を作りたいですね。現状に近い東京ダーツマスターズが毎年開催される為にも。

ダーツ屋どっとこむ よろしくお願いいたします