No.45 今の日本のブランドは大丈夫なのかな?

2019年3月

かたや、ブランド側も選手流出がないように頑張らないといけない
ちょっとキツイこと書きますけど、今の日本のブランドは大丈夫なのかな?

PERFECTは開幕したので、ひと段落したところでしょう。
僕の関わっているhyperelectraとSylarも、人数が増えてバタバタしています。hyperelectraの場合、この号が出るタイミングでPHOENIX社とのコラボイベントが発表されますから。
昨年の12月くらいから、僕はズーーーーーーーーっとPCの前で製作していたわけですね。数えてみたら100アイテム以上デザインしていることに自分でもビビりました。
この間に、開幕戦のグッズデザインやらバレルデザイン・ポスターやカードのデザインが入りますので、常にデットラインに追われている状態になるわけです。
ちょうど今頃は、MJ SPRINGの商品デザインとイベントの打ち合わせで死んでいることでしょう(笑)。
まぁ、僕の場合には継続してやっている仕事が多いので、年間でというよりも数年かけてプロダクトデザインしたり企画したりすることが多いので、あまり契約更新に関してはいつの間にか感があるんですけど、選手の場合にはそうはいかない。
一年更新が圧倒的に多いので、契約UPの選手又はスポンサーが増える人は勝ち組、これに反して契約ダウン又は契約解除の選手もいるわけです。

この時の選手の争奪戦は正直魑魅魍魎としていますね(笑)。
誰がどこそこに行くとか、金額面であっちの方が高いから行くとかもう情報戦の嵐。僕はそういうのに飽きたので、契約満了した選手か、それともまだ付いていない選手だけに基本的に声をかけるようにしています。
結果、金額で釣って来てもまた金額でどこかに行かれますからね。これは仕方がない。だって、彼らには寿命があるから。稼げるうちに稼いでおかないと、誰も守ってはくれませんからね。
僕の関わっているブランドは特殊な販売方法なので、それを十分に理解してもらってからでないと契約出来ないし、ちょっと一風変わった体制を、特にhyperelectraの場合には取っているので、メリットとデメリットを先に伝えてしまいます。
後から「こんなはずじゃ」とか言われても困りますし、長い間契約してもらわないとブランドとして構築出来ないので、むしろデメリットを強く伝える方が多いかな。
それでも、来てくれるという選手の場合には期待に応えてくれるし、すぐに自分の居場所というか役割を理解してくれますしね。
その代わりと言っては何ですが、何をするにしても選手とのコミュニケーションを大事にするために全員に一斉に伝えるようにしていますし、もし選手として成績が上げられなくても、何かしらの役割を提示してやりがいを見つけてもらうようにしています。なので、隠し事というのは基本的にありません。
裏でこういう動きがあるということも全て全員同時に伝えるようにしています。そうやって、心構えと事前対処、そして何よりも選手たちもこのブランドの経営に意見してねという手法を取っています。
選手によっては話題についてこれない選手もいるので、そういう時には選手同士で補ってもらう。なので、衝突もありますし、日々LINEが鳴りまくっていますが、そこを今では星野と伊代(松本)のお姉さんたちがまとめてくれているという感じですね。
特に星野に関しては、この二年間でどれだけ無理難題を無茶振りしたことか(笑)。でも、僕の一番信用しているしょーいち(山下)なんて、何年俺に怒鳴られて来たことか。それでも、今では一番頼りにしているし、こちらがなんかいう前に先に動いてくれる。
業界側は何かしらの連携が取れますけど、選手の場合には仲が良い連中で集まっていても、結局は個人事業主ですからね。ピリピリしている時期っていうのは「大変だなぁ」と近くから見ていて思います。勿論、手助けできるところは手助けしますけど。
今年の契約がうまく言ったからと言って、来年の契約はわかりませんからね。複数年契約でもしない限り、精神的には大変なものなんです。特に金銭契約の場合には。

金銭契約かそうでないかで、シビアさは全然変わって来ますからね。
沢山のスポンサーのロゴがついていても、全然お金になっていない選手がほとんどだと思いますよ。
好きなことで生計を立てるということは努力も必要ですし、ただ勝っていればいいというわけではないですし。賞金だけで食べていけるくらい勝てば別ですけどね(笑)。
スポンサーがついたらひと段落してしまう選手が多いんですが、ここから金銭契約を勝ち取るのが醍醐味なんですけどねぇ。用具契約しても、遠征費だ何だで本当に出費が大変ですから、選手もここからが茨の道なんですよ。金銭勝ち取りたければ、先に身銭切ってでも試合に出ないと評価はしてもらえないですからね。
特に男子の場合にはここが非常にシビアじゃないでしょうかね。まぁ女子の大会回数も多いからあまり変わりませんけど。

かたや、ブランド側も選手流出がないように頑張らないといけない。
ちょっとキツイこと書きますけど、今の日本のブランドは大丈夫なのかな?て思ってしまいます。
勿論、ちゃんとやっているブランドもありますけど、多くは選手任せでSNSとポスター・ブース程度の「誰でもできるプロモーションしかしていない」と僕は思います。企業努力という言葉は度々出てくるんですけど、それが企業努力?と思ってしまうことが多々ありますね。
古いんですよ、プロモーション方法が。完全に一般的に流通しているプロモーションとは違い、10年前では通用したかもしれないけど、今じゃもうそんなの役にも立たないよと言いたくなる場面が結構多いですね。
まぁそれでいいと思っているからやっているんでしょうけど、だったら景気のせいにしたり何かのせいにしないで、まずは自分の足元をしっかり見て何をしなければならないのかなんていくらでもあると思うんですけどね。「あのメーカーは金で美味しいところを持っていく」と愚痴こぼしたって、それ以上の魅力が今自分のいるメーカーにないからいくんでしょう?
面白いことしているのが伝われば、そして将来性があると期待させてあげないと、選手なんてあっという間にいなくなりますからね。怠けていると言っているわけではないんです。思考回路が止まっていると言ったほうがいいのかな。常に変化しないとブランド・メーカーは絶対に発展しません。
たかが一回トップを取っただけではダメなんです、だって戦いは続いているから。ずっと先を走り続けようと思うくらいの気持ちでやらないと後発隊にすぐに抜かれていきますからね。まぁ、今年久々に「勝ち組と負け組」がはっきりする年じゃないですかね。でもこれは交通事故みたいに突発的なことではなく、今までの蓄積がどこかで道をそれて間違った方向に進んでいった結果なんですけどね。
そうはならないように、僕らも必死にがんばっている最中ですよ。弱小メーカーと言われているうちは。
早くトップどころに躍り出たいですからね。それが何度も経験出来る場所を与えてくれているクライアントに感謝ですね。