2017年7月
書き始めてからもう10カ月も経ちました。
時間が経つのは早いもので英語では「Time flies」といいます。
約一年という滞在期間でしたが、本音を言うとまだまだこちらで頑張りたいです。
ただ日本で過ごす一年とは違った経験ができ、改めて自分と向き合いいろいろなことを考えるようになりました。いろいろな人と出会い、いろいろな生き方も見てきました。
だからこそぼくが今思うのは、やはり男なら夢に生きなきゃということです。
多くの方が言っていますが、若さというのは可能性の塊だと。
本当にそうでしょうか。ぼくは自分がこちらに来るという挑戦ができたのはただ単に若いということだけではない気がします。距離的な問題や金銭的な問題、家族の問題もあるかと思いますが、それでもPDCやBDOなど世界に挑戦している幅広い年齢層のプレイヤーと会うことができました。そのようなプレイヤーに共通していることは、ただ勝ちたいということではなく子供のころの憧れのようないわば「遊び心」があります。本当にダーツが好きなんだなと感じさせられますし、本当に世界の舞台でダーツが投げたいんだなと思わされました。
それは小学生がプロ野球選手になりたいといったような純真からくる夢です。そしてそれゆえにすべての行動や生活のリズムがダーツ中心になっていき、そこから勝つためにといったことを中心にしてすべてが動いていっているのです。
夢を追いかける人たちのほとんどはポジティブに毎日を生きています。
「できない」「難しい」「わからない」といったネガティブなワードを聞くことはまずありません。そして行動こそが何かを変える唯一の手段ということも、自然とわかっているようでした。僕も思うのですが、やはり考えるだけでは何かが変わることはありません。
リスクを考えることや、最善のプランを探すことは大切なのかもしれません。しかし、ぼくの経験上、物事が考えた通りに進むことはなかなかありません。
結局はその場その場で直面する問題に対処していくことになります。
しかし、どんな結果があろうとそれは行動を起こした人にしか、おとずれません。その一歩を踏み出した人にしか見えない景色があります。
僕は自分がどれだけ成長できているかはわかりませんが、もしできているとしたらそれはイギリスのダーツに触れたことだけではなく、イギリスの空気や日々の生活そして失敗といったこの一年のすべての出来事から得たものでしょう。
そもそも自分の夢が何かを考えたことがあるでしょうか?
僕の夢は5年以内にPDCのステージでプレイすることですが、そのためにすべきことをいままでは考えたことがありませんでした。はっきりとした目標があるのにぼんやりとした道筋・過程しか思いつかなかったのです。つい最近、どうしたらいいかということを書きだしてみましたが、一時間以上もかかってしまいました。アスリートの本を読んだりしていると、大切なことは「目標設定」と「目標までの条件」を多く目にします。
たとえば、僕のダーツ基礎力が著しく低かった場合はまずは基礎力から上げなければいけませんが、そこからもう一歩踏み込んで考えるようにしました。
ただ単に「基礎力の向上」よりも「トリプルの精度を30%」にするといったようにより細かく設定すればその練習方法も変わってきます。(PDCトップレベルは40%Over)。
僕らが知っている一流アスリートの多くは、ただ単に夢というものに向かって走っているのではなくて、どのルートを走っていくかということも考えて向かっているのです。
目標設定だけをしていた今までの僕は、まるで目的地だけセットしたナビをもとに、ただ矢印の方向に走っているだけでした。イギリスでの大会は終わってしまいましたが、このことに気付けたことは、これからにとって非常に大切なことではないかと思います。
そして、この文化的なエンターテイメントに対して、どこまでストイックにそしてプロフェッショナル意識を持てるか、ということがこれからの僕の課題でもあります。
確かにスポーツと言われればそうなのかもしれませんが、現状の日本ダーツ界はそう呼ばれるには、やや違和感があるのではないでしょうか。どちらかと言えばエンターテイメントでしょう。
しかしここイギリスではダーツ市場は何百億円といった規模がありますし、その金額や露出の多さゆえに、その言動や行動もやはり一流と感じさせるものがあります。
ファンサービスしかりSNSでの発信もしかり、不快なものや度を越えたものもありません。
仮にそういったことがあった場合は運営側から重いペナルティが課されます。今後日本のダーツ界もそうなっていってほしいと思いますし、そういった動きもしていきたいと思います。先ほど僕の夢はPDCでプレイすることだと述べましたが、それと合わせてスティールの新たな形での大会やツアーをしていきたいとも思っています。
まだまだ構想段階ですがそろそろ新しい波があってもいいのかなと。
PDCも選手の声が集まって、選手が発起人となり、選手のために立ち上げられた団体です。
PDCに近い環境でダーツをプレイしたくありませんか?
僕にはダーツプレイヤーとしての夢もあります。スティール大好き人間としての夢もあります。
ただこれはこれからのダーツ界のためだとかそういった思いはなく、ただ単に自分がこちらの環境でダーツを投げたい、かっこいいダーツプレイヤーを見たい・なりたい、ハイレベルな試合を見たい・したいと思うだけです。
結果的にそういった取り組みが今後に生かされていけばいいだけで、やはり自分がやりたいことをとことんしたいというのが僕の性格なのです。
残念ながら僕は8月に帰国してしまいますが、決してこちらでプレイすることをあきらめているわけではありません。絶対にまた戻ってくる。そう思える魅力的な国ですし大好きな国です。
僕が持ち帰るものは、きっと今までの日本のダーツ界にはあまりなかったものが多いと思います。新鮮でかつ格好いいものです。自分本位な考え方で申し訳ないですが、そんな僕の夢にみんなを巻き込んでいきたいなと思いますし、そんな僕の夢を一緒に追いかけてくれる人たちとも、いろいろ話をしたいです。
今月号で僕の記事が終わりなのか分からないのですが、とりあえず一つの区切りを迎えました。拙い文の寄稿で本当に申し訳ないと思います。そしてそれでもNDLを購入して目を通してくれている読者の皆さんには感謝しかありません。毎度偉そうなことを書いて不快な気持ちになった読者の方、これが僕ですので堪忍してやってください。
初めてこのような雑誌の記事を書かせていただいて、いい経験にもなりましたし、多くの方がイギリスのダーツに興味を持っているのだなと知ることもできました。
編集長の益田さん、このような経験をさせていただき本当にありがとうございました。
最後に
「If you can dream it , you can do it」
それではまた。