No.13 ダーツマシンの使い方

2017年9月

先日の日本ダーツ祭りにて、ついにダーツライブ3が発表され、ダーツマシンの新たな可能性を感じました。
今後ダーツがより人々に親しまれるようになるためにマシンの担う部分はどこにあるのかを考えてみました。

ダーツの起源には諸説ありますが、500年ほど前(日本の室町時代)にイギリス兵士が弓矢で木の切り株の木目を使って弓の技を競ったのが始まりだと言われています。
『狙う→外れる→悔しい→再度狙う→成功→嬉しい』、ダーツのこういった単純な繰り返しの経験の中でハマった人もたくさんいたと思います。
この木目を狙う行為が、ダーツという競技に発展するまでに、ダーツボードにも様々な変化があったと聞きます。ブリッスルボードを経て近年デジタルダーツマシンが登場し、ソフトダーツというカテゴリが誕生しました。
発売された当初、デジタルダーツマシンと言っても通信機能は搭載されておらず性能も低く、ゲーム機で言えばファミコン(解りますか?)くらいの性能でしたが、あのレトロ感が今でも時々懐かしく思う時もあります。
当時のダーツマシンに搭載されているゲームの内容は、カウントアップなどの練習ゲームや01・クリケットなど、今でも親しまれているものが中心でした。
僕の記憶ではダーツを使った神経衰弱やボウリングゲームなんかもありましたね(ルールは忘れてしまいましたが)。
遊戯データを保存できる機能などもありませんでしたので、レーティングは大会エントリー時に使うぐらいで普段気にすることはあまりありませんでした。
ダーツマシンが自動で得点計算を行いゲームが簡単にできるようになったことが、急速にダーツ人口が増えた要因の一つだと思います。
また、ダーツマシンの効果音も関係していると思います。真ん中に刺さった時に「ズキューン」となる音。この快感もダーツにハマる要因になった一つではないかと思います。しかしながら、計算機能が付いているだけでは飽きも来ますし、音に感動しない人には効果音も関係ないかもしれません。

   左:▲ 2002年当時のダーツマシンTAURUSのカタログ

話は逸れますが、今のゲーム機やおもちゃは大変高性能だと思います。スマートフォンでも気軽にゲームがダウンロードできますし、飽きても次から次へと新しいゲームに手をつけることができます。
僕らの世代の子供の頃の遊びと今の子供達の遊びの違いには全く異質のものを感じます。さらに自分の親の世代の遊び方の話を聞けばまた全く違うと思います。おもちゃの性能が今ほど高くなかった世代の人たちは、遊び方をアレンジして遊ぶことが上手だったんだろうなと思います。
ダーツマシンそのものが進化することによって、一つのゲームに工夫を足して楽しむという必要がなくなって来たことは楽でもあり、さみしくも感じます。今と比べてダーツ人口も少なく、マシンの性能が高くなかった頃は、いかにレベルの差を感じさせないか、いつもの場所でいつもの人とどの様にダーツを楽しむかなど、ゲームを工夫することを考える事が多かったように思います。
一例ですが、10年ほど前、近隣の特にバーを中心に、変わったルールの01が流行りました。少し条件を加えただけなんですが、大人数でも盛り上がりましたし、罰ゲーム的な要素をくわえるとよりスリリングになるゲームでした。

●ゲーム内容
人数/3人以上
設定/01を、NO BULL設定に
変更(ブルが無反応になる設定)。

●ルール
・3本投げなければいけない
・フィニッシュ禁止(上がると負け)
・バースト禁止(負け)
・アウトボード禁止(負け)

ゲーム手順は順番を決めて、順番に数字を削っていきます。ルールの禁止事項に該当した人は負け。最後まで残った人が勝者というゲームです。
01ゲームですから、ダーツを投げると最初に設定で変更したブル以外は当然数字が少なくなります。最後はブル以外に刺さると負けになってしまいます。
「ハットを出したら順番が逆周りになる」などいろんなオプションルールもありました。結構盛り上がってやっていた記憶があります。
人が頭を使って楽しみ方に工夫を加える。いろいろな発想やネタを多く持っていて楽しませることができる人やお店は魅力的だと思います。
僕はダーツの本来の楽しさには、ボードが何であっても変わらないものがあるのではないかと思います。それは、大昔に兵士たちも体感したであろう「狙ったところに当たる快感」。これが本質だと思っています。
ダーツは、競技志向であっても、遊びとしてでも、上達を感じられることで楽しめるものだと思います。もちろんダーツが幅広く受け入れられるためにはエンターテイメントの要素も必要だと思います。長く続けるための上達への追求と、入り口を広げるためのエンターテイメント性への追求。
ダーツ全体の人口を広げる上ではどちらの必要性も感じますが、その手段として相反する部分もあるように思います。
僕がお店に来るお客さんと日々話していることは、「どうすればダーツがうまくなるか」、「うまくなるためにどう取り組むか」などといった情報交換が多いと感じます。
お店としては、練習会や総当たり戦などのイベントなどさまざまな角度からダーツが上手くなるためにはどうすれば良いかを考えています。
マシンを利用して、時にはブリッスルボードを利用して、ダーツが投げられる場所を提供し、ダーツの楽しみ方の方法を考える行為をし続けるスタッフ。ダーツを看板にしているお店の担うテーマだと思います。
今回発表されたダーツライブ3。まだ全貌は解りませんが、現在のテクノロジーを利用して、エンターテイメント寄りの方向に突き進むだけではなく、ダーツの技術向上のためへの工夫が盛り込まれていたのは、個人的にとても楽しみです。楽しみながら、上達の手助けをしてくれるマシン。本格的な稼働が待ち遠しいところです。

新しい機械や機能を利用してさらに多くのダーツの楽しみ方を作れるようにがんばりたいと思います。