Big Baby_column_Top-13

No.13 PDC アジアツアー台湾ステージ

2018年9月

Big Baby_column_No.13-1

PDCアジアツアーの台湾ステージも終わりました。
多くの日本人選手にとってこのステージが最後となるようです。ランキングや費用、安全面などを考慮すれば妥当な判断でしょう。そんな僕は懲りずに挑戦するわけですが、終わりも近づいてきたのでこのアジアツアーに参加して感じたことなどでも書いていきます。
国内を含めて全6か所のツアー開催となりましたが会場までのアクセスや試合会場の環境などは大方こんなものだろうと思いました。オキがなかったりといったことは当日のアップの段階で慣れればいいことですし、空調の強弱なども気にはならない程度でした。

一つ気になったことと言えば、ツアーも終わりかというのにもかかわらず、チョーカーがいまだに不慣れでもたつくということです。使うソフトやその使用方法までも丁寧にweb上などに上がってますが毎回スムーズな試合進行をしたことはありません。
その点日本人の勤勉さとでも言いますか、日本人チョーカーの試合はストレスなく行うことができました。こういった試合においては試合に負けたほうが必ずチョーカーをしなければいけません。優勝しない限りほとんどのプレイヤーが行うことになります。試合の練習だけではなくてチョーカーの練習も行うことは必要です。
そしてなによりも選手側からのチョーカーチェンジ要請が通らないことにも少し疑問を感じました。海外の試合では少しもたつくだけでチェンジがかけられて変えられてしまいます。スムーズかつストレスフリーな試合を目指すうえで必要かとは思いますが来年はどうなるのでしょう。 とはいうものの初年度ながら総合的に見ればとてもいい環境で試合をさせてもらえましたし、いい経験になったと思います。しかし改善の余地があることも確かです。選手側からの意見をそのまま受け入れる必要はないかとは思いますが、少しでもプレイヤーがストレスなく帰国できる環境作りに励んでいただきたいと、上から目線で恐縮ですが思います。

僕個人の成績としては今の段階でもランキングは38位と低いですし、Best8以上に進出もできませんでした。国内と違ってフォーマットが長い分ゲーム自体の流れやポイントはありますが、もたもたしているとあっという間に不利な状況になってしまいます。
国内のフォーマットは勢いといったもので押し勝てる印象ですが、こういった長いフォーマットを戦うときは一呼吸おくことや、捨てレグなども意識できる心の余裕が必要なのかもしれません。
イギリスで経験したことをもう少し活かせたらと思っていましたが、少々気持ちが先走り自分のスタイルで試合をこなすことがややおろそかになっていたとも感じています。
自分なりのダーツができているときは勝てているので、残り1戦もそんな自分が出せるように調整していきたいです。来年度はすこし取り組み方を変えて試合に挑むつもりですので、こんな僕ですが応援してくれるとうれしいです。
今回の台湾ツアーもいつも通り山田選手と同部屋でした。最終日は二人とも同じタイミングで負けてしまったので、街をぶらぶらしながらアジアツアーの話をしました。

僕もそうですが彼も感じることはトップ4の選手はとびぬけて安定しているし、浅田選手はPDCでも通じるんじゃないかということ。スタッツを見ていてもそうですがもう90など当たり前のようにダーツを投げていますし、先日行われたPDCの下部トーナメントであるユニコーンチャレンジツアーのスタッツを見ている限り、出場したとすると優勝候補には上がることでしょう。
まだまだPDCのメジャークラスには厳しい戦いになるでしょうが、間違いなくここ3年ほどでレベルを1次元上げました。おそらくPDCでもランキング30位ほどのレベルはあるでしょう。
今回の台湾ツアーでほぼ年末のワールドチャンピオンシップも確定させていることでしょうから、どんなダーツを見せてくれるか楽しみです。選手として目標になり続けるプレッシャーは想像がつきませんが、まだまだ浅田一強時代は続くことでしょう。
山田選手がもう一つ言っていたことは6戦という短いツアーのなかではいかに序盤で勢いをつけるかが大切だということです。序盤の3ステージで少なくとも優勝をしておかなければ最終的に絡めることは厳しいんじゃないかということ。もちろん言われてみればですが、今年度のツアーを見ているとポールリム選手の序盤での躓きが見てとれます。アジアでは抜群の実力と世界的な知名度のもとアジアを代表する選手ですが、前回のマレーシア大会で初入賞そして今回の台湾ステージで初優勝と右肩上がりで調子を上げてきていますが、ランキングはまだワールドチャンピオンシップ圏内ではありません。
キャリアだけでも僕の年齢以上のものを持つ彼でさえも苦戦を強いられているこのツアー。ここで勝つことはいかに難しいかということです。

そしてそんな多くのプレイヤーが苦戦を強いられているなか、強さを見せているのがイラガン選手を筆頭に毎回上位に食い込んでくるフィリピン勢。イラガン選手はビザの関係から神戸大会に出場していないにもかかわらず4位圏内をキープしています。ダーツを見ていてもそうですがなにか鬼気迫るものがあるといいますか、ものすごい精度の上に気持ちが乗ったダーツをする姿は、ストイックさというものとあきらめない気持ちを知るうえで勉強になります。
年末にイギリスに入国できるのかが心配ですが、浅田選手同様に応援したいプレイヤーの一人です。
来年行われるかが不透明な状況のアジアツアーですが、もしも来年開かれるならば参加する意義はある大会だとは思います。ただ来年からは年間ランキングでのボーナスなどを考えていかなければ4位圏内の目が無くなってしまうと出場しなくなるプレイヤーも多くおり、盛り下がってしまっているので改善してほしい点ではあります。

今回のツアーで一つ嬉しかったことは開会式でオフィシャルの方が日本で立て続けに起こった災害のことに触れ、それでも参加してくれている日本の選手に拍手と暖かい歓迎を受けたことです。
親日で東日本大震災時にも多額の寄付をしてくれたことは知っていましたが、このような場でもそのような優しさをくれたこと本当にありがとうございました。
さてこうやって書いていると一年間はあっという間だったなと思います。この一年でどれだけ成長できたのか毎年思いますが、また来年に向けて動いていくだけです。いつまでも挑戦できるように、今できていることに感謝しながら、明日も精一杯ダーツしたいと思います。