2016年1月
去年同様、今年もイギリスで浅田斉吾と正月を共にすることになりました。
2015年大晦日、ボクシング内山高志戦を見に大田区総合体育館に行き、日本人が11度も世界1位を防衛する姿を見て日本人も世界で通用するイメトレをした後、品川駅にレイクサイドアジア代表の浅田斉吾選手を迎えに行きました。元旦の朝にはイギリス行きの飛行機に乗らなければなりません。
正月気分は全くありません。かろうじて私の店なんですがY・sというダーツバーで年越しカウントダウンをしてそば食べたくらいです。初詣も去年の反省から体を冷やしたらまずいと思い諦めて元旦朝の飛行機を私の家で待ちました。
そんなこんなで行った今年はじめの世界挑戦日記を結果だけではなく選手の舞台裏やその他現地での大会中の生活を中心にお伝えしていきます。
まずコラムを書くのに去年は何を書いたか読み返してみました。なつかしく思えるレイクサイドでの反省点は大分克服してきたと思います。体調管理を始め心の準備まで去年とは大違いでした。
そもそもレイクサイドとは何かを簡単に説明すると、日本でいうNHKのようなBBC TWOというチャンネルで、お正月にイギリスで全国放送するような人気のあるダーツ大会です。お正月に一日中ダーツの大会を放送しているのですからイギリスのダーツ人気は日本よりはるかに上でメジャーな感じがします。そして男子で40名ほどの世界から集まった代表選手が優勝賞金約1800万円と世界チャンピオンの称号を目指して戦うのです。(女子は優勝賞金約200万円) 。
観客は2千人近く集まります。チケットは1日55ポンド約1万円もします。良い席を取るために開場前からコスプレなどをした多くの人が並びます。
何でレイクサイドと言うのか?それはレイクのサイドにある会場で行うからです。ホテルの名前もレイクサイドホテル、会場の名前もレイクサイドカントリークラブ。メインスポンサーもこのレイクサイドホテル…こんな感じです。
ヒースロー空港から車で約1時間、会場の周りは何もありません。歩いて10分弱のところに夜8時位まではやっているコンビニ的なお店があるくらいです。後はホテルのバーで時間を潰す以外は何もやる事ありません。バーには大会期間中、4面ほどのダーツが設置されます。そこで選手達がお酒を飲んだり練習をしながら交流します。
ここでも去年との差が出ました。昨年は浅田斉吾を知る人もほとんどいないので緊張しながら一人練習だけをしていました。しかし2年目は違います。チームLーstyleからもアメリカ代表ラリー・バトラー等が出場していますし、アナスタシアやジャパンオープン女子チャンピオンのファロン等も来ています。浅田斉吾もマスターズやレイクサイドで大分有名になりましたので沢山の人から声をかけられます。去年は出来なかった前日のラリー・バトラーとの対戦練習も出来ました。語学も去年は「ハロー」以外は全部却下だった浅田斉吾が一所懸命しゃべろうとしています。凄く大きな成長です。
今年はイギリス在住の通訳さんをネットで探して依頼してみました。やな人だったらどうしようとか心配しましたがとても良い方でよかったです。それは今回のスーパープレイに大きく貢献してくれたと思います。
環境に関しても心の準備が色々出来ました。去年驚いた試合30分前のカタログ30冊に書かなければいけないサイン、日本ではあり得ないと思いませんか?試合前の30分なんかは一番ナーバスで調整に集中したい時間です。30回サインするのは手も疲れてしまいます。
今年もやはり頼まれました。でも覚悟していたのとしてないのでは大きく違います。やっぱりか~と二人で笑えたくらいです。
そんなこんなで迎えた初戦、去年とは別人のような自信に満ちていました。前回はただただ心配でこちらも楽しめなかったのですが今年は違います。
相手はWDFランキング1位の選手、勝つのは容易ではないのですが圧勝することが出来ました。アベレージも高く世界中の人を魅了したのではないかと思います。
初戦終了後は沢山の人にナイスゲーム!と声をかけられ、中には「去年悪かったけど今年は最高だったよ!」とはっきり言ってくる人もいました。去年悪かったと言われるのは悔しいですが逆に見てくれているんだと嬉しくもなります。特に嬉しいのがNOセイゴ、NOパーティー!と書いた紙を持ってる人や日本語で応援メッセージを書いている少年などがいた事です。
2回戦目の相手はスパーキーというイギリスで人気の若手プレイヤー、今回も成績5位のシード選手でした。斉吾も以前記念写真とったりとリスペクトしている選手です。
まさかレイクサイドのステージで戦うことになるとは。しかもスパーキーの彼女がブリトニー・スピアーズ似のめちゃ美人な女性、こちらは応援おっさん一人、何としても勝ちたいところでした。結果フルセットまで持ち込んだものの惜しくも破れました。
しかしランキング5位を追い込んだのも事実、この一年での成長を来年さらに伸ばせば間違えなくどの選手とも勝ち負け出来ることがわかりました。
年々日本のレベルは確実に上がっています。マスターズの大内麻由美、大城明香利の世界ベスト8を始め年末のPDC小野恵太のスーパープレイ。
確実に頂点が見えるダーツになってきたと思います。その差はまだ大きいという方もいます、確かに差があるのも事実、しかしこの成長速度は確実に世界の頂点へ向かっていると思います。
2016年が無理でもまた来年その次の年と諦めないで挑戦することが成長速度を速めるのに大事な事だと思いました。
そして浅田斉吾の勝った後、負けた後の立ち振舞いに世界トッププレイヤーのオーラを感じました。喉がかれて鼻血が出そうになるほど応援できたことに感謝します。来年ジャパンオープンと同時に開催されるレイクサイド予選で誰が代表になるか分かりませんが来年もここに来たいと思います。
日本でネット中継を見たりして応援してくださった皆様本当にありがとうございました。今年最初のコラムになりましたが、これからも世界で活躍する日本人ダーツプレイヤーを中心に世界のダーツ事情をお伝えしていきますので本年もどうぞよろしくお願い致します。
PS.ロンドンのカジノには気を付けよう、と思いました。何でも学習が大事ですね~!。