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No.10 ダーツは「振らない、押さない、投げない」です(笑)

2014年3月

技術論とは身体を道具として考える
ダーツ運動は不思議です。技術の向上どころか安定すらしないのが殆どのプレイヤーさんの悩みではないでしょうか?練習量や長年の経験値はあまり意味を持たずトッププレイヤーでさえその座をキープする事ができず技術的に波が大きいのがダーツの特徴の一つであると思います。
自分の身体が自分の物でないような感覚に陥り、どうしようもない憤りを感じストレスを感じる事しばしと思います。

身体は「テコの原理」の構造
ダーツの運動は極々軽いものです。20g程度の道具を2m投げる運動に大凡筋負担は考えられません。それでは何故肩肘等に負担がかかり実際ケガをされる方がいらっしゃるのか?
それは簡単に言うとタイミングが外れて「しまう」からです。車は何故走るのか?どうして飛行機は飛ぶのか?は力学で証明できると思います。身体を「道具」として考えた時にどのような「姿勢」を取ればそれが力学的になるかを考えるのが技術論なのだと思います。力が伝わるのには必ず理由があります。
人は「無理やり」坂を上ったり重たい物を持ったりできます。この「筋力的な力」に所謂「(運動に対する)力の総量(重力やベクトル等全ての力量)」の比重が筋力に偏ってしまうと「反射」が起こり自分自身を制御できずタイミングが外れる原因となるのです。

軸とは支点、支点とは関節
身体を道具とした時重要なのは「骨格」です。その骨格がどうのように動くかで出力が圧倒的に変わっていきます。
筋肉の殆どが骨格を動かす為に存在(随意運動)し、支点(関節)力点(筋肉)作用点(力の作用する場所)の位置関係により力や速度が規定されるのです。個体差は当然ありますが前方向を走るより後方向を走る方が速いという人はいないと思います。
その理由が力学的観点なのです。歩くには歩く為の、走るには走る為の、ボールを投げるにはボールを投げる為の解剖学的力学があるのです。
難しく書いていますが例えば遊びの「ジェンガ」をやる時にどこの棒を抜くと倒れないか、どこに置けば倒れないかを直感的に考える事は出来ると思います。
どうすれば力が伝わるか?=筋力ではなく支点である関節のつなぎ方、そしてその支点である関節の姿勢が整わず力が伝わらない事でタイミングが外れ技術的な欠損やケガに繋がっていくのです。

イップスの原因は身体のシステム
ダーツはコントロールする競技です。しかしコントロールする事に特化するような考え方は効果がありません。あくまでも力を伝える事を重視した考え方でなければコントロール性には繋がっていきません。
狙うという行為に身体をいくら沿わせても力を伝える力学に沿わなければ所謂力みを生み様々な「反射」を引き起こしてしまうのです。コントロールとは目で見た目的物に対し「素直」に腕が向かうかどうかという事です。

身体は伸ばす運動が嫌い
スポーツ界を悩ませ特にダーツ競技者を悩ませる「イップス」。このイップス症状の原因は「反射」です。反射とはその特性を活かし運動姿勢に取り入れられ野球のボールを投げるという行為にもその反射は活かされています。
しかし人類の最大の目的は「生きる」事でありこの生命を脅かす姿勢に対し自己防衛能力を発揮するシステムが「反射」なのです。簡単なところで言えば二足歩行である人間には転ばないように姿勢を制御するシステムがあるのです。

イップスには紛れもない特徴があります
イップスはゴルフのパターが打てなくなってしまう事から用語が生まれ長年精神的な面による原因が取り沙汰されてきました。もちろん起因はするでしょう。しかし緊張した場面や追い込まれた状態でのびのびとプレーできる人は皆無だと思います。
2016年ゴルフ界ではルール改正となりグリーン上のパッティング時に用いられていた「アンカーリング」というクラブを身体に直接固定したストロークの禁止が発表されています。これはパターイップスを発症する選手だけでなくその手法が「打ちやすい」と感じた選手に打撃を与えると思います。

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単純に何故アンカーリングという手法を用いると打ちやすくイップスが改善するのか?イップスには紛れもない特徴があるのです。

手首は返「す」のではなく返「る」
野球の送球イップスの一番の原因は手首の「割れ」です。よくリストが強いとかスナップが利く等言われますが所謂手首の「返し」には力は「ありません」。
これを聞いて「そうか、うんうん」とはならない方は多いかもしれません。しかし例えば「しっぺ」をする時はどのような手首の使い方をするでしょうか?多分手首を背屈姿勢で固定し手首を返さないように打つのではないでしょうか?
釣りでも遠くにキャスティングする時はどのように手首を使うでしょうか?足首においてもボールを蹴る時に足首を返しながら蹴るのでしょうか? 野球の送球イップスの改善方法としてボールを真上に投げる事で改善すると言われています。この真上に投げるという方法論は強制的に身体を力学的に使わざるを得ない状態となるのです。

ダーツは投げてはいけない
ダーツ界において「振り投げ」「押し投げ」もしくはフォロースルーでは腕を「真っ直ぐ伸ばす」等言われますが「反射」を助長しかねません。
正確には腕が伸び「る」のは良いのですが伸ば「す」は駄目です。リリース後のフォロースルーの形は好不調のバロメーターにはなるかもしれません。しかしその現象に対し伸びないものを無理やり伸ばしても何も解決しないのです。
振って投げるのは出力が強いから、押して投げるのは力が伝わっていないからです(※振り投げも力が伝わっていない事で筋出力が上がる可能性が高い)。

力が伝わればイップスにはならない
力む場所は前腕(指の筋肉や手首の筋肉)です。指や手首の使い方次第で全身への影響が出ます。
合気道の技はそのような解剖学的身体の特徴を考察し編み出されているのです。テニスや卓球はフォアハンド側だけイップスになりバックハンド側ではなりづらいのはフォアハンドの手首の使い方が背屈(伸展)から掌屈(屈曲)に対しバックハンドでは掌屈から背屈となり力学的な手首の使い方を用いりやすいか否かなのだと思います。
野球の送球イップスに関してもボールを真上に投げようとすれば手首の使い方が変わるのです。

ダーツ姿勢は身体防御システムを発動しやすい
本コラムやASUKADARTSブログ等でイップスを題材に長々と綴ってきましたが、正直その原因を説明するだけで何の改善にも繋がらなかった方が多くいたと思います。
しかし多くの方から直接ご連絡頂きレクチャーさせて頂く事で知識のひけらかしから具体的な改善案を考えるに至ってきました。
ダーツではセットアップで前腕を回内させる事で肘を曲げる運動が不利になり、更に首を捻った方向に利き腕があるため余計にそれらが助長され所謂テイクバックが困難になります(※前腕回内すると肘を曲げる最大筋肉の上腕二頭筋の作用が弱まり、頸反射により利き腕は反射で伸びようとします)。テイクバックが困難になる事で伸展運動に準備が与えられず急激に筋収縮します(膝を曲げないでジャンプするようなもの)。ようは反射の大敵である「伸ばす」がダーツの運動では過剰になりやすいのです。
故に力をしっかり伝える方法論を取る事で「伸ばす」という意識を軽減し結果「伸びる」という状況を意図的に作り上げるのです。
ダーツは「振らない、押さない、投げない」です(笑)。

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