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No.16 「S・N・S」

2014年7月

ソーシャル・ネットワーキング・システム(通称SNS)は、インターネット上の交流を通して構築されるコミュニティ型の会員制サービスで、一般的に知られているFacebook、mixi、Twi
tter、ブログやLINE等もこの類に含まれます。

利用者が個々で登録したプロフィールを公開し合い、情報や写真を共有して繋がりを持たせるこのシステムは、現在個人法人を問わず世界中で利用されています。
運営会社によってサービス内容や規約に違いがありますが、名の知れた殆どのSNSからはそれぞれのコンテンツページから別会社が運営するコンテンツページへとリンク(連結)させる機能が備わっており、例えばブログに書いた事をURLの貼り付けでmixiにアップさせたり、FacebookとTwitterに同時に文章を投稿できたり等…。自分が承認している相手と個人的な情報をいつでも共有できるこのSNSというサービス。現代の日本国内では個人での登録のみならず法人のホームページの代用としても数多く活用されています。

私自身も紹介文に記載している通り、普段からFacebookを利用しています。そしてダーツ業界では8割…いえ、9割程の人たちがSNSの登録者である事はご存知でしたか?

例えばプロ選手たちは自分のプロフィールや写真を公開して、試合の戦果やダーツイベントの情報、自分がどこで投げているか等の情報を発信していたり、ダーツに携わる企業は広告や契約プレイヤーの紹介等を上げていたりします。
モバイルや端末からSNSを開くと、直接的な友人でなくともインターネット上での繋がりがあれば、いつどこで誰が何をしているか等が手に取るように知る事ができます。

誰がどの試合に参戦しているか、どこの企業と契約を結んだか、誰と誰が一緒にいるのか…未だ一度も顔を合わせた事の無い者同士でも、SNSで情報の共有やコメント等の会話をしていると、まるで本当の友人になったかのように身近に感じ始めます。この親密さこそがSNSの普及の根源でもあり、また幾度もトラブルを巻き起こす諸悪の根源でもあるのです。

「顔の見えない友人」は、実在する人間が作り上げたバーチャルな実体の無い存在…つまり自分の都合の良い様に見え隠れするクローン人間やコピー人形のようなモノ。その存在から発信される言葉は、時に優しく時に激しく惨いものでもあります。
ダーツという競技を取り巻くSNSでも、個人から発信された情報に対しコメントする側は応援したり励ましたりという微笑ましい場面の裏で、卑下したり罵ったりと顔を見られていない実在を知られていないからこその悪意に満ちた発言も飛び交っています。
また発信する側でも、多くのトッププロ選手たちが戦況や戦果の報告、イベントや所属する企業の告知等でダーツ業界のそのものを賑わす中、一部のダーツプレイヤーたちからは目を覆いたくなるような乱暴な発言、病気や怪我やトラブルなどの「ネガティブな情報」ばかり上げられているという現状。インターネット上でもダーツという競技の底が上げられずにいる悲しい事態ですね。
憧れるプロ選手が利用しているSNSを真似てみたり、繋がりを持つために登録する人たちが今も尚増え続ける中で、実体が見えなくともその存在を作り上げたのは実在する人間であり、個々が発信する文字はそれを目にする日本中世界各国にまで「言葉」として届くのだという事を今一度ご理解ください。
インターネット上の造語で「ネチケット」という言葉があります。ネットとエチケットを組み合わせたもので、インターネット上でのコミュニティにおけるマナーを指します。その意味が示しているのは「場の空気を読む」事と「荒らし」行為を禁じて防止する事で、より良い環境の中でSNSを利用しようという切なる願いです。
「場の空気を読む」というのは皆様もご理解されている言葉ですが、SNS上で例えるならば、戦果を挙げた選手の投稿や写真のコミュニティに沢山の賞賛コメントが書かれている中で数多くの人たちの目に留まる場である事を利用して縁も所縁もない告知や宣伝を書く事、試合に参戦するプレイヤーを応援する投稿でお門違いの自慢話をする事、ダーツバー等の店舗が出したイベント告知のスレッドのコメント欄へ作為的に誤った情報を書き残す事等…挙げればキリの無い話ですが、これは実際に私がダーツに携わるSNSで何度も目にした光景です。

また最近では減ってきてはいますが、稀に見聞きしてしまう「荒らし」という卑劣な行為。俗に言う「アンチ」な人々からの悪意ある発言や、事実無根の情報を故意に発信する事、悪質なサイトへリンクさせるURLを貼り付けたり、コメント者同士が喧嘩のように罵り合い言い争う事等、純粋に情報を共有している利用者たちから忌み嫌われる無法者たち。悲しい事にこの無法者たちもまたバーチャルでありながら実在の人間が作り出している暗い存在です。現実的には相手にされない言動を、顔が見えないSNSの特性を利用する事で強気になり無責任に騒ぎ立てるだけの迷惑行為。実害は無いにしても、利用者たちにとっては決して気分の良いモノでは無く、中にはSNSそのものにストレスを感じて利用しなくなる人もいます。昨今ではニュースにも取り上げられた程、幼い学生たちの間でもSNS利用者が増え、そのトラブルもまた並行するかの如く増え続けていると…。

生き物たちの感覚の中で最も情報を吸収するのは「視覚」です。SNSでの発言は言葉のように思えて文字…つまり「目で取り込む情報」です。
メールとは違って相手に証拠として残されにくいコメント等は、指先ひとつで簡単に消去できるモノでもあり、プロフィールや写真等も実際の知り合い同士でなければ偽名を使っていても実在が知られることが無い為、その指先で叩き出される言葉に社会的責任感を持たない利用者たちも存在しているSNS。

マナーを守り合える者同士で多くの人たちと繋がり情報を共有する事が出来るのならば、現実世界より遥かに居心地の良い場所であるというのは、誰もが感じたことがあるはずです。でもそこは人間と人間が見えない糸で繋がっている場所でもあります。顔を見合わせぬ仲とて親しき仲にも礼儀あり。礼儀を持たぬ人間はインターネット上であっても誰にも相手にされる事無く、いつしかその見えない糸も途切れて、自由という名の孤独の中でしか生きる術はなくなるでしょう。

貴方が作り上げた実体なき人物から発せられる言葉と情報を見て、貴方と繋がった人たちはその指先の主である貴方自身を見ています。
応援して欲しいコメントして欲しいという感情が行き過ぎて、いつの間にか僅かな不幸自慢をしてはいませんか?
「がんばって」が「お大事に」に代わり「可哀想」になっていませんか?貴方は本当に日本全国から「可哀想」だと思われたいのですか?
非難や攻撃的な発言を繰り返して、貴方は何を築き上げるのですか?沢山の繋がりがあった筈なのに、いつの間にか誰もが目を逸らす様になったのは、背を向けた人たちが悪いのだと本当にそう思っていますか?

お気づきでしょうか。貴方が目標とする人にいつまでも届かないでいるのは、ダーツの技術だけではない筈ですよ…。