2015年5月
いよいよPDCのイベントが6月27・28日に日本で開催される事になりました。
これまでもPDCの選手が日本に来る事はあっても、チャレンジマッチやソフトダーツの大会のエキシビジョン的な来日で、本気の姿は見られませんでした。
今回はPDCが主催で、PDCが近年進めている海外イベントの1つとして開催されます。
イギリスは勿論の事、オランダ、ドイツ、オーストラリア、ニュージーランドといったダーツが人気のある国でのTV中継も決まりました。
日本ではJ-スポーツが27・28両日とも生中継をするそうです。
凄い事になってきましたね。来日する8人も凄いです。全員今年のプレミアリーグ出場選手。オーダー・オブ・メリットの上位6名にバーニーとバンティングを加えた8人です。
チズネルが見たかったとか細かい意見はあるでしょうが、本当に世界のトップの8人が参戦します。
この8人に日本人選手8名を加えた16人で2日間にわたってトーナメントをするわけです。
8人の内4人がPDCの推薦選手として発表されていて、村松治樹・知野真澄・勝見翔・橋本守容の4名。
ハルキとアニーはワールド・ダーツ・チャンピオンシップに出場していますし、翔はPDC ワールドカップでエイドリアン・ルイスを倒しています。
真澄も2012年にオーストラリアで開催されたPDCのイベントで決勝まで進み、フィル・テイラーと対戦しているんですよね。PDCでの実績という点では文句なしの4名でしょう。
残りの4名については本誌発売直後に開催される、PDCチャレンジ西日本予選の予選通過者4名に出場権が与えられるそうです。
実績十分の4名と、今勢いにのる4名の合計8名がPDCの強者に挑むわけです。
土曜日の初日は1回戦8試合が行われ全て日本人対PDCプレイヤーで、日曜日は2回戦から決勝戦までの7試合が行われます。
フェイスブックに「日本人選手には悪いけれど初日PDCプレイヤーに全て勝ってもらい、日曜日は全てPDCプレイヤーの対戦が見たい」と書いている人がいましたが、確かにその気持もわかります。
逆に日本人選手に頑張って欲しいと思っている方もたくさんいるでしょう。どちらの気持ちもわかりますね。まあ難しい事は考えずに、大会前には発表になるであろうトーナメント表を眺めながら、優勝予想をしつつ素直に楽しみたいと思います。
ただ1つ不安があるとしたら当日会場の雰囲気はどうなるんでしょうね?
日本のダーツイベントの観客数としては過去最高の1、000人を横浜大さん橋ホールに集めるようですが、現在イギリス国内で行われるPDCのイベントは観客数3、000人以上の会場でおこなわれ、最高峰のワールド・ダーツ・チャンピオンシップが開催されるアレクサンドラ・パレスは日本武道館クラスのキャパシティーと言えばいいのかな?1万人規模の会場でもちろん満員。会場にはTVで放映しているPDCのイベントを生で楽しもうとお客さんが来ています。
しかし日本の現状は1、000人が、私も含めダーツをしている人達なんですよね。静かに見入ってしまうんじゃないかなあ?
観客全員がサイリウム持参するとか、選手のコールを作ってそのコールで応援するとか、ジェット風船飛ばすとか、何か日本的な盛り上がり方とか出来ればいいんですけどね。とは言っても私も見入っちゃうんだろうなあ。個人的にはジャパン・マスターズで9ダーツが出たらいいなあと思っています。見ている方も一生の思い出になるでしょうしね。
9ダーツと書いたところで1つ触れておきましょう。
先日フェイスブックを見ていたら、黒川智成選手がバラシュカのハウストーナメントで9ダーツを達成したそうです。
私の知る限りではトーナメントでは日本人は誰もしていないですし、リーグ戦でも無いんじゃないかと思います。練習で9ダーツ出たよって話は有名選手だと結構聞く話ですが、ハウストーナメントでも日本初ではないかと思います。おめでとうございます。
話はまた海外に戻ります。今年はWDF ワールドカップのある年です。実はワールドカップと名付けられたダーツの大会はいくつかあるんですよね。
PDCでも数年前よりワールド・カップ・オブ・ダーツという名の大会を開催していますが、出ている選手は勿論凄いんですがPDCのオーダー・オブ・メリットに名前があるかそれに準ずる成績の選手をPDCが選んで開催するイベントで、各国が選手を選んで派遣する代表とは若干イメージの違う大会です。ソフトダーツにもワールドカップと名のついた大会は有りますが、ソフトダーツゆえに参加国も少ない現状です。
WDFは現在69ヶ国が加盟する団体で、ワールドカップは1977年に第1回大会が開催され、それ以降隔年で開催されています。
一番歴史と伝統があり、多くの人のイメージするワールドカップに最も近いのがWDFのワールドカップと言えるでしょう。
今年はトルコで開催されます。はい、ここが問題なんですよね。
トルコといいますとISILによる日本人拘束事件があったシリアの隣の国です。
選手を派遣するJSFDでもどうしたものか非常に難しい問題で、選手を派遣するかどうか苦慮している状況のようです。
私も清水浩明が関わる事なのでかなり前から状況を調べているのですが、情報が少ないのが現状です。
外務省の海外安全ホームページを見ますと、トルコに関してはシリアとイラク国境付近で「退避勧告」が出ているだけで、それ以外の地域ではイスタンブールの一部で「十分注意」と注意を促しています。
このイスタンブールの「十分注意」は今年に入って増えている爆弾テロと、シリア内戦・ISILの台頭を受けて政府の対応に抗議するデモが市内各所で発生している為のようです。
トルコが隣接している国を見ますと、シリアとイラクは当然「退避勧告」。
イランとアルメニアとアゼルバイジャンは「十分注意」が国全体に出ていて、国境付近で「退避勧告」「渡航延期勧告」が出ています。
トルコの隣接国ではブルガリアだけが何の勧告も出ていません。やはり中東は危険なんですかね?
宗教的・民族的・政治的な問題が絡みあった中東問題は、日本人には非常に理解もし難いですね。
トルコといえば親日国と言われていますがどうなんでしょう?
4月に大会でJSFDの寺島理事長にお会いした時に、ワールドカップへの選手派遣について話をしてきました。WDFとしてはワールドカップは開催するし、トルコで問題は無いと認識をしているそうです。他国の団体と話をしても特段の問題は無いといった意見が多かったそうです。
トルコは中東の中では安全な国だが、ヨーロッパの多くの国と比べたら危険性は高いという認識がヨーロッパの人々の中には元々あるのでしょう。
4年前にトルコでワールドカップを開催すると決めた時から、世界的に見るとトルコの状況は大きく変化していないのでしょう。
逆に日本人としてはトルコは親日で中東の中では安全な国という認識だけがあるところへ、今回の日本人をターゲットとした事件があり、必要以上にナーバスになっているのかなという気もしなくもない。
元々こういった身代金目的の誘拐事件は中東では多くあり、誘拐ビジネスという言葉もあるくらいの状況のようです。
通常は企業の人間を誘拐し、企業から身代金を取るのが一般的な方法のようですが、今回は日本政府相手でしたから表立って身代金を払えば今後ますます日本人が危険にさらされますから、政府としては着地点を模索する内に一方的に交渉が打ち切られたのでしょう。
逆に考えると誘拐やテロに屈しない姿勢というのは、日本人に対する誘拐等の犯罪に対しては抑止力が生まれたのではないかと思います。
トルコに話を戻すと外務省のHPには「トルコではこれまで日本人や日本権益を直接対象としたテロ事件は発生していません」と書かれています。
その点では「日本人だから」という理由でのテロや誘拐は無いのではないのでしょうか。
それともう1つ考えなくてはならないのは、2年後にワールドカップを開催するのは日本である事。
WDFの総会はワールドカップの前日に2年に1度行われるだけなんです。寺島理事長としては最低限自分一人でもWDFの総会には出席する意気込みだそうです。
次回のホスト国が総会に不在ってわけにはいかないですからね。
寺島理事長から私の意見を求められたのですが「日本の外務省としてはトルコに対して特に危険と発していないんだから、他国への海外旅行と同じで自己責任で身は守って下さいって事でしょう。現状から状況が悪くなり「退避勧告」や「渡航延期勧告」が出たら派遣中止は当然としても、現状のままだったら選手の判断に任せては?」と無責任な発言しか出来ませんでした。
清水浩明にも同じ事を伝えました。
行きたいと思えば行けばいいんだし、怖いと思えばやめればいい。
JSFDが派遣を決めたからといって元々安全を保証しているわけでもありません。嫌だったら断る権利もあります。
「別の大会への派遣も含めて検討中」とJSFDのHPに書いてありますが、アイルランドのワールドカップに同行させてもらった立場としては、あの大会に代わる大会なんてありません。その部分だけは凄く嫌だな。
オープン参加の大会なんてお金さえ出せば誰でも出られるんですから。
そうじゃないものがワールドカップにあると思っているから、私はJSFDを応援しているんです。
ともかく一度選手達にヒアリングをしてみて、状況を見守るしか無いのではないのでしょうか。