2018年5月
2018年4月から本格稼働を開始したダーツマシン「DARTSLIVE3」。
新たに搭載されたさまざまなハイテク機能にみなさんも驚かされたことと思います。
今回はスピード測定機能やビット判定機能から考えさせられたダーツの精度について書いてみたいと思います。
僕がダーツを始めてから十数年、スキルアップのためにグリップやスタンス、投げ方以外にもダーツの飛び方などさまざまな模索を続けています。その中で、いろいろな方からさまざまな考え方を聞かせていただきました。しかし、いまだに行き着くところ「そこは感覚」というもので片づけてしまうものもたくさんあります。
2018年4月から本格稼動を始めた「DARTSLIVE3」。新ゲームの中に「スキルチェック」というゲームがあります。「1本目と同じスピードで3本投げろ」、「1本目と同じところに投げろ」など、何となくの感覚にたよっていたことを改めて意識させるミッションがあります。
高得点を得るために求められる誤差もなかなかシビアな条件。いざやってみると、あまりの評価の低さに愕然。感覚に頼りまくっていた僕にとっては、当然と言えば当然の結果でした。力加減やタイミング、スピードなど、目に見えないものをそろえるのはとても難しく、できているのか自分では判断がつきにくいので、つい投げ方や結果などの目に見えるものに重点を置きがちになっていたのかもしれません。
3月に開催されたスーパーダーツはDARTSLIVE3が採用されました。DARTSLIVE3のアプリでは試合を振り返ることができる機能があります。それを使って全選手16名の平均スピードを出してみました。
1st、2ndレグの1投毎の平均を出し、それを全選手でとった平均が約19・5㎞/hでした。このスピードが良いと言いたいわけではありません。ただ、ソフトダーツの世界最高峰の大会の平均ですから、1つの参考値とすることはできると思います。
しかし、スローイングの技術を評価するとき、本当に必要なのは速さではなく「どれだけ安定したスピードで投げることができるか」ということだと思います。
各選手の試合中の最高速度と最低速度の誤差の平均は約2・5㎞/h。フィル・テイラー選手、浅田斉吾選手、榎股慎吾選手の3選手に関しては誤差1・5㎞/h以下でした。
この辺りの数字が世界水準のクオリティーと言えるのでないでしょうか。
「スローイング技術」と「的に合わせる技術」について、こんな風に考えてみました。
例えば、3発の弾がセットできる2丁の銃があるとします。Aの銃は、狙った的の半径5㎝以内に弾が飛ぶ。Bの銃は、狙った的の半径10㎝以内に弾が飛ぶ。
それぞれの銃で半径2㎝の的を2m44㎝離れた場所から狙います。
どちらの銃も3発ごとに弾をセットしないといけませんので、3発ごとに狙い直す必要があります。
合計24発打って、的に当たった回数を競う場合、みなさんはどちらの銃を使いたいと思うでしょうか。
普通に考えれば、Aの方が的から外しにくいので、技術の高い人ほどAを使ったほうが良いと思います。
しかし、精度の低いBは誤差が大きいので、的に向けた銃口がずれていても当たる可能性はあります。ダーツで言うところの「キャッチがある」ということです。
すると、Bの方が良さそうな気がしてきます。
24発撃つまでに8回狙い直す必要があるので、的に合わせる技術が高い人ほどAの銃の方が外さないのではないかと思います。
こう考えると、「銃の精度」と「的に合わせる技術」は別物として切り分けられて、よりたくさん的に当て続けるためには、どちらも必要であると考えられます。
これはそのままダーツに置き換えて考えてよいと思います。この話に出てくる銃はダーツの話では何を指すのか。バレルではありません。これは「投げる人」そのものということになると思います。投げる人の「スローイング技術が高い=銃の精度が高い」という考え方です。
自分自身が銃であるという考え方をすると、精度を高めるのも的に合わせるのも、どちらも自分自身だということです。
精度の高い銃で的に当てる練習をする方が、精度の低い銃で的に当てる練習をするより効率がいいと思うのと同じで、ダーツは高いグルーピング技術で的に合わせる練習をした方がいいのではないかと思います。こう考えると、グルーピングの精度を限りなく高めることの重要性がよくわかります。
ところで、スローイングの精度はどこまで高めることができるものなのでしょうか。自分のレベルによって思うところは違うと思いますが、ここで考えてみたいのが、「インナーbullはいつから狙えるようになるのか」ということ。そして「いつから入れ続けることができるようになるのか」ということです。
僕の場合は、インナーbullが絶対必要なシチュエーションは頻度が少ないから、必要な時しか狙ってこなかったと思っています。しかし、トップレベルの選手と話をしていると、狙っている範囲や意識はすごく狭いところにあります。そういう話を聞いた時、僕は心のどこかで「自分はまだ狙えるレベルではない」と思っている気がします。
よく考えてみれば、カウントアップで1000点出すなんて到底無理だと思っていた頃は、投げたダーツはバラバラと広範囲に刺さっていたわけですが、bullが狙えるようになりたいと思い続けて、ずっと練習してきました。
その結果、少しずつ小さい範囲にダーツを集められるようになってきたわけです。ですから、インナーbullに関しても技術的に狙えないとわかっているうちから狙っていかないと、なかなか確率は上がっていかないのではないでしょうか。
「グルーピングの精度を高める」ための一つの要素としてスピードを意識することも必要なのではと思います。ですが、一定のスピードで投げられるようになったとしても、それがグルーピングの精度を高めることに直結するかどうかはわかりません。
一定のスピードがすべてというわけではなく、あくまでベースとなるものを安定させることが一つの要素として考えられます。
DARTSLIVE3のスキルチェックは、ダーツがうまくなるために作られたといってもいいくらい日々の練習の助けになると思いますし、個人的にも好きです。
今までは感覚に頼った練習だけで、同じようにできているつもりでいましたが、数値化された答えを見せられることで、明確な課題や問題点が自分で見つけられるのは、今までになかった画期的な機能ではないでしょうか。
最近は、ショップに来られる方とも、スピードやグルーピングについていろいろな話をする機会が増えたように思います。「ダーツは山なりがいいのか?直線的がいいのか?」などの質問もよくありますが、それに対する目安の回答や話のネタも増えました。
今までの目に見える動きやグリップフォームなどの話だけでなく、力加減やスピードなどの安定についても、今後さまざまな話ができそうで楽しみなところです。
今回搭載されたDARTSLIVE3の新しいゲームを使うことによって、精度についての意識が高まり、皆さんのダーツがスキルアップできればと思いますし、僕自身も、もっとダーツの精度を高めていけるようがんばりたいと思います。