No.18 日記に書いてあることをもとに

2021年9月

今回は一つの話題に対して長く書いていくことが全く浮かばなかったので、僕が気になっていたことや日記に書いてあることをもとにコラムを構成していく。
連載初めの頃に何を書いていたか、どんなことを思っていたかの記憶が定かではないので記事が被ってしまわぬように気を付ける。時系列が前後することがあるが意図したものではない。

2021/08/03
僕は自分の使う道具が一番いいものと思っている。それほど自分の道具に自信があるし、そういう思いで作っている。そして使っている。
この道具で成績が伴わないのだったら、それはすべて自分の責任だと思える。
それぐらい僕は自分の道具を信用している。
ありがたいことに以前所属していたメーカーからは自身のモデルのダーツが発売されているが、それもその時にこれ以上のダーツはこの世界に存在しないと思えたから発売した。そういう思いが伝わったのかスティールダーツとしては珍しいほど皆さんに使っていただいているし、そのストーリーも楽しんでいただけたと結果として思っている。
ダーツを製作する過程で、やはり売れないものは作れないというメーカー側の考えは非常に理解できるし、そのブレーキがあるからこそ、いいモノが出来上がる。しかしここで考えることがある「売れるモノ」とはなんだろうか「買うモノ」とはなんだろうか。形なのか、スペックなのか。要素はいろいろあると思うが僕が考えるにユーザーに買っていただく「モノ」とはすなわち「ストーリー」なのだ。ただタングステンの塊を買っていただいているわけでもなくその塊になるまでのストーリーや、選手の思いなどがそこに付加価値を生み出す。一昔前はきっとそういった裏側を見せることは何の美徳でもなかったことだろう。むしろ格好が悪いということであったと思う。しかしSNSやYoutubeなどではそういった裏側を見せることもまた一つのコンテンツとして成り立ってきた。そこに人々は共感し、ともに一つのモノを作ってきたんだという思いが生まれる。ただ単に店頭に並んでいるものを買うのではなく、並んでいる無数の商品の中にも自分の思いがこもっているんだという価値観を感じてもらう。それこそがモノを売ることではないだろうか。だからこそ大切にしてもらえる、だからこそ使っていただける。今現在もさらにいいモノを求めていろいろ考えている。もちろんそれが自分が納得のいくものとなれば自分でどこかに発注したとしても売ることになるだろう。自分が本当にいいモノと感じるその思いをみなさんと共有し、よりよいダーツライフのきっかけになればと思っている。

2021/08/12
読者のほとんどが何らかのSNSを日々閲覧しているだろう。タイムラインに無数に流れてくる投稿に目を通し、イイねやコメントなどをして楽しんでいるはずだ。最近ではAIがフォロワーの傾向や投稿の傾向などから、おすすめの投稿を勝手に表示してくれたりする機能も出てきた。 僕のSNSはほとんどが発信目的で使用しているためフォロー数など2021/09時点で3人しかいないし、自分が求める情報は自分から探しに行っているので無駄な情報を目にすることは多くない。
しかしそうやって自動で流れてくる投稿の中にも考えさせられるものはある。僕がダーツを始めた頃はまだスマートフォンすら持っておらずケータイの使い道といえばメールや電話などしかなかった。そのためにダーツをやり始めたころの日記やその時の気持ちなどはノートに書いていたし、もちろんいまでもその癖は抜けずに地道にノートを書くこともあるが、最近の若い人はそれがSNSの投稿になっていることが多くの投稿から見て取れる。そのためにその人のプライベートの一部が友達のみならず、不特定多数の人に晒されることとなってしまい何気なく投稿したその内容に心無いコメントや時にはDMが送られてきたりすることもあるらしい。投稿自体にコメントや共感をしてほしいといういわゆる承認欲が現れていることも原因としてはあるだろう。しかもその投稿に意図しない反応があった場合には「いや、そういうことじゃなくて」みたいなことでまた騒がしくなる。そして反応する側も人付き合いのモラルを無視したような言葉使いなども多く目にする。もちろんそういった世界であることは僕自身SNSを使う身としては少しは自覚しているしある程度の自己防衛はしているが、いつどんな投稿で自分にそのような状況が降りかかってくるかわからないから僕がSNSで大切にしていることは、相手の顔や名前がわからないアカウントからのコメントなどは一切気にしないということだ。すべてを隠すことができる選択があるにも関わらず、顔を出して名前を出すことでその投稿やコメントに責任を持った人のコメントしか僕は読む気がしない。そしてモラルのないコメントをしている人の大半は誰かもわからないからブロックしても問題ない。そういった何かしらの自己防衛基準を持っておくことでSNSでのストレスから少しは逃れられるかもしれない。伸び悩んでいて、ダーツに集中したいのにいろいろなストレスに晒されている人はそういった悩みが多いことも投稿で共有されてしまう。恐ろしい世界だ。

2021/08/25
名古屋に帰ってきて1週間ほどが経った。有休消化なるものでダラダラしているがこの状況だからどこに行くこともない。だれと会うこともない。ただ自分の今後を考える。もちろん次の仕事は決まっているのでその後の事だ。人生なんて成り行きだから考えたってその通りになるかもわからないから無意味かもしれないがそんなことしかすることがない。そんな時にいつもふとダーツのことで思いつくことがある。10年以上も毎日ダーツのことばかり考えていたがこの1年ほどは完全にそれどころではなかった。もちろん考えてはいたのだがそれはどこか不安な気持ちからのものだから自分の中に積み重なるものではない。そんな気持ちからも少し解放され、久しぶりに前向きなことが頭をめぐる。こうしたらいいのではないか、ここをこうしてみようとか、いろいろ今まで溜まっていたものが溢れ出てくるように思いつく。これだからダーツはやめられない。自分に自信があるわけでもないが、この久々の状態が訪れただけで自分はまだまだ伸びることができると思えることが何よりも嬉しい。

2021/09/05
先日悲しいニュースを目にした。ドイツの渡航制限の条件が今年のワールドカップ代表選手の柴田選手に引っ掛かり出場を辞退せざるを得ないことになってしまった。すべてのダーツプレイヤーが目指すPDCという舞台のために準備し、勝ち上がり、実力でその代表権を勝ち取ったにもかかわらず大会1週間前にそれを知らされた柴田選手の気持ちは到底理解することはできないし、理解できるはずもない。喪失感を感じているはずなのに、SNSでは次に向けて再度チャレンジするといったことを言っていた彼の強さには尊敬しかない。そして急遽代役として決まった馬場選手は準備時間もなく、帰国してからの自粛などもあろうに日本のためにと決意してくれたことにダーツプレイヤーとして感謝するしかないだろう。もちろん国内トッププレイヤーであることは間違いのないことであるし、プレミアムオンラインリーグでの大活躍は記憶に新しい。
日本のスティールレベルが飛躍的に伸びた2021年の日本代表は一味違うところを本場のスティールプレイヤーたちに見せつけてもらいたい。その実力は既にある。日本の初戦はロシアということで僕が今まで見てきたうえで予想すれば問題なく勝ち上がるだろう。二回戦目にはドイツ、そして三回戦までいけばおそらくイングランドとだろう。ヨーロッパだけではない、スティールだって世界一なんだというところをぜひとも見たいものだ。

2021/09/07
広島に来た。このご縁に感謝。ご縁とは網目のように広がり、感謝して大切にする限り無限に広がっていくと教えてくれた方がいたがほんとにそうだろう。新天地としてまたもや住んだことがない土地に来たが、ところ変われば応援するチームも変わるということで職場の隣に球場があるもんだから、試合の日には真っ赤に染まっている。ここ広島の地へ来たがやることは変わらない。いやむしろ再開と言ったほうがいいだろう。
またプレイヤーとしてダーツに打ちこむことにした。もちろん仕事は仕事としてやるのは当たり前だが、今度ばかりは何も言い訳せず泥臭くてもかっこ悪くても自分らしく生きようと思う。これまで長く所属したコスモダーツからも離れて心機一転リスタートだ。わがままばかり聞いてもらったコスモダーツには本当に感謝している。これからのさらなる飛躍と発展を心から願っている。仕事の内容自体はまぁいろいろやっていくこととなるだろうが、カメラも使うしパソコンも使い、頭も体もフル回転という感じだと思う。30代なにが残せるかで40代は決まるので必死のパッチで生きていく。