No.18 「大会へ行こう!」

2018年7月

〜盛り上がりを見せるダーツの大会〜
プロを目指してダーツを追求する人、ライトにダーツを楽しむ人、どのレベルの人も自分に合った大会を選んで参加できるように、全国規模のビッグトーナメントから店舗で行われるハウストーナメントまで、さまざまなスタイルの大会が日本中で開催されています。今回は「大会」について思うことを書いてみたいと思います。

僕が働くディースリーでは、さまざまな大会に積極的に参加することを勧めています。
いくつか目的はありますが、まずは大会に出て、ダーツへのモチベーションを持ち続けてもらいたいと考えるからです。お店によって考え方や取り組みもさまざまだと思います。ディースリーでも岡崎店と一宮店では取り組みが異なります。

ダーツに限った話ではありませんが、「成果」や「結果」が目に見えて分かるというのは、モチベーションを維持するためには効果的だと思います。良い結果であればやりがいにもつながり継続しようと考えます。
しかし、思うように成果が上がらず悪い結果が続けば、モチベーションを保つどころかダーツ自体をやめてしまおうと考えるかもしれません。ディースリーでは「どうしたら次は良くなるか」など、一緒に考えていける環境を大切にしています。
僕個人としては「うまくなりたいと思うことが、ダーツを長く続ける上での最大のモチベーション」と考えています。もちろんダーツに対する考え方にも個人差があります。必ずしも「ダーツ=ストイックにやるもの」と思っているわけではありません。一人一人に合わせてモチベーションを維持する方法を考えるようにしています。また、お客さん同士の交流を深めて繋がりをもつことで「ダーツの上達」という同じ目標を持つ仲間とともに、長く続けていける環境を整える手助けができればと考えています。
日々の練習を積み重ね、目に見える成果としてレーティングが上がればモチベーションも上がるという人もいると思います。また、いろいろな人と対戦して、戦績を上げることでモチベーションが上がるという人もいるでしょう。たまたま同じ店で投げている人とだったり、オンライン対戦など、「対戦する」ツールとして、ハウストーナメントや大規模な大会も利用してもらえればと思います。
大会を一つの区切りとして、勝っても負けても、また次の大会を目標に掲げ挑戦する。大会を一つの目標として続けてもらえたらと思っています。
また、大会などを通してダーツの盛り上がりを世間に対して見せることで、ダーツの社会的な価値を高めたいと考えています。
6月に開催されたFIFAワールドカップ2018。連日ニュースで取り上げられ、サッカーに興味のない人でも、何となく「サッカーが盛り上がっているな」と感じることがあったかと思います。同じように、「ダーツが盛り上がっている」と認識してもらおうと考えた時、「ダーツショップやダーツバーが近くにある」「ネットカフェなどで投げている人をよく見かける」という程度ではなかなか難しいなと思います。
ですが、仮に1万人規模のダーツの大会が行われるとします。それだけの人が集まるとなれば、ニュースやSNSに取り上げられるなど、世間の注目を集めるものになるかもしれません。注目されれば、さまざまな企業が参入する可能性もあり、さらに注目が集まりやすくなる。「参加者を増やし大会を盛り上げる」のは、ダーツの盛り上がりを認識してもらう手段の一つとなるはずです。

では、どのようにして大会は開催されるのでしょうか。まずは企画を立てて協力企業を募り、会場・スタッフ・マシンなどの手配と大会告知、そして参加者を集める。集まった参加人数をもとにトーナメント表を作成。大会当日のイベント企画・ブースの手配…。まだまだ書ききれませんが、大会が開催されるまでには実に多くの手順が踏まれています。当たり前ですが、誰かがこれらを請け負ってはじめて大会は開催されます。ディースリーは、ビッグトーナメントを主催したことはありませんが、大会のコントロールや会場設営、ブース出店などで大会運営に携わらせていただいています。大会を盛り上げるため、開催地域の店舗を中心にポスターを配って回り、大会告知をさせていただくこともあります。

このような経験から、大会運営はとても大変なことだと実感しました。大会を主催する企業は、常に新しいことを考え、参加者に満足してもらうための企画やアイデアを形にするため尽力されていると思います。また、ビッグトーナメントが開催できるような大きな会場には厳しい規制があったりさまざまな制限もあり、なかなか難しいと聞きます。

それでも、十数年前と比べれば大会自体は確実に増えていますし、大会に参加する人も増えているようです。しかし、大会数の増加に伴い、参加者が分散傾向にあると思います。たくさんある大会の中から、自分に合った大会を選べるようになったというのも理由の一つかもしれません。では今後、より良い大会を開催するためには、何が必要なのでしょうか。

5月に名古屋で「ダーツライブオープン名古屋」という大会が開催されました。当日は東海地区を中心に活動しているプロダーツプレイヤーをはじめ全国から16名の招待選手が招かれ、僕もその一員として参加させてもらいました。
招待選手として、少しでも大会が盛り上がるようにと、より多くの人に告知や声かけを積極的に行いましたが、マンパワーには限界があり、なかなか難しいことだと思いました。大会に参加するという選択肢を持たない人に、どうしたら興味を持ってもらえるか、そこが大事なんだということを痛感しました。
過去に何度も大会に参加している人たちにとっては、大会がどんなものかは分かっているし、選んで参加していると思います。そういう人たちを飽きさせないようにすることも大切ですが、さらに参加人数を増やして盛り上げていく為には、大会に参加したことのない人たちに目を向けていかないといけないと思います。
ディースリーに来られるお客さんでダーツを始めて間もない人に「ダーツの大会に出てみない?」と声をかけると決まって返ってくる言葉、想像つきますか?多くの場合「自分はまだそんなレベルではない」という言葉です。ほとんどの大会はディビジョン分けされ、初心者の方にも楽しめるよう、ある程度同じレベルで戦える工夫がされています。ですが、その工夫が参加経験の無い人には伝わっていないのが実情です。よく見かける大会のポスターは、「初心者の人でも出られる」というのが目立たず、「大会=上級者」という認識がもたれているようです。
例えば、各ディビジョンに過去のデータから大体どのくらいのレーティングの人が参加しているかというのがポスターや要項に書かれているだけでも違うと思うんです。
最近はSNSなどで広く告知ができることもあり、大会があることを知ってる人は結構います。ですが、「参加してみよう」までのあと一歩がなかなか踏み出せないようです。こういった人たちの背中を押すことができれば、大会の参加人数は大幅に変わるのではないかと思います。ダーツの店に立つ人間として、口頭での説明はやるべきことですが、人数が限られてしまいます。当たり前のようにされている工夫を、もっとうまく説明したり広めたりすることで、より多くのプレイヤーが大会に集まるのではないかと思います。

ディースリーでは、レベルに関係なく楽しんでもらえるよう「総当たり戦」をはじめ、さまざまなハウストーナメントを開催しています。6月には、一宮店のお客さんが企画したハウストーナメントを開催しました。店であまり接点のないお客さん同士でも、大会を通して仲間意識をもつことができ、大会後も一緒にダーツを投げたりダーツの話で盛り上がったりと、「大会」を契機にモチベーションを上げることができるようです。
いろいろな大会の話を聞いても、「いきなり大会はちょっと…」と思われる方もいると思います。大きな大会は参加しなくても観戦だけすることも可能です。地元のプロ選手の試合を近くで観戦したりメーカーのブースをのぞいたりと、会場に行くだけでも雰囲気を楽しめると思いますので、近隣で大会が開催されるときなど、まずは足を運んでみてはいかがでしょうか。

僕は、ダーツ業界に携わっている以上、より多くの人に長くダーツを楽しんでもらえるよう努力をしていかなければと思っています。何か新しいことをやるというのも大切ですが、どこに目を向けているのか自問自答し、微力ながらもダーツを盛り上げていきたいと思います。