No.59 リーグ戦も大会も普通に出来る日が早く来ること

2021年5月

前号のこのコラムでJSFDオンライン・トーナメントの案内をしましたが、その後にWDFワールド・カップ中止の発表がありJSFDのサンクションの中止の決定と今年度のランキングの決定等バタバタしまして、選手には心配とご迷惑をおかけしました。他のページでオンライン・トーナメントの結果やランキングが掲載されていますが、ここではその舞台裏を書いてみたいと思います。

3月中旬にWDFから加盟各国にアンケート調査がありました。ワールド・カップに参加できるかできないか、参加する場合の構成(男・女・ユース)、8月末での参加者のワクチン接種状況、要望等、この4つでした。日本としては参加する方向で調整している、ワクチンの接種状況は難しいのではないかと返答をしました。
私個人としてはワールド・カップ開催も難しいのではと思っていました。参加国も減るでしょうし、ワクチン接種の問題や、クラスターが発生しない為の対策、問題は山積みですからね。
ともかくJSFDとしてはワールド・カップがある限りはサンクション大会を開催して派遣選手を選定しなくてはなりません。しかし大会も会場の人数制限や飲食の規制等中止の可能性も非常に高く、オンライン・トーナメントを複数回開催してオンラインだけで選考する場合と、リアル大会も開催する場合の両にらみで準備です。
そして4月10に25日に開催する1回目のオンライン・トーナメントの詳細を発表しました。驚かれた方もいるかと思いますが、オンライン・トーナメントですが店舗のみでの開催とさせていただきました。
私は「オンラインでやるのなら自宅からでも参加できるようにすればいいのでは」と最初は思っていましたが、「ワールド・カップの日本代表を決める大会なのでスローイング・ラインもしっかり測ってあるべきですし、第三者の居る場でプレイをすべきでは」という意見がJSFDの立場としては正しい判断だと思いました。

3月4月から毎週というくらいズームでミーティングやテストを繰り返しました。n01製作者の大野さんにも協力いただき、出来るだけトラブルが起きないルールや、トラブルがあった場合の対処方法などを考えました。トーナメントの進行はn01を使いますが、店舗責任者にはラインのグループに入っていただき、トラブルがあった場合はズームで運営に伝えてもらい対処するようにしました。
また、ネット配信も準備しその場合はズームを使ってスコアラーも立ち合い中継するようにしました。こんな事まではJSFDの人間だけでは思いつきませんから大野さんの協力は本当に助かりました。

ジャパン・オープンとウエスト・ジャパン・カップの会場キャンセル期限が4月末と迫っていましたが、その期限ぎりぎりまで判断を待つ事にしていました。そんな最中の4月18日早朝にWDFがホームページでワールド・カップ中止の発表をします。選手からの問い合わせでJSFDも知る事となりますが、WDFからはその件に関しての連絡がありませんでした。
寝耳に水ってやつですね。詳しい状況がわからないままホームページに書いてある事をJSFDでも公式発表し、WDFには詳細の問い合わせをしました。
WDFから連絡があったのは1日半後でした。時差があるうえに土曜日曜を挟んででしたから仕方ないですね。ワールド・カップは2023年大会をデンマーク、2025年大会を韓国で開催できるように調整すること。2022年に開催予定のアジア・パシフィック・カップは台湾で開催すること。12月にオランダで予定しているワールド・マスターズは現時点では開催予定という内容でした。

20日夜に緊急理事会を開催します。オンライン・トーナメントも含め大会をどうするか?2019~2021年度のランキングをどうするか?ワールド・マスターズの派遣をどうするか?考えなくてはならない事はたくさんあります。
関東関西で緊急事態宣言も出そうな雰囲気でしたので、私は全ての大会を中止して、ランキングもなし崩し的ではありますが決定、マスターズに関しては様子見でいいんじゃないかと思っていました。でも、会議をしている5日後の大会ですからね。
協力してくれる店舗さんはその為の準備をしています。営業はしないけれど参加選手だけ入れて大会には参加したいという声もありました。
参加不参加も全て参加者と店舗にお任せする事にして25日のオンライン・トーナメントだけをポイントを付けずに無料で開催し、その他のトーナメントは全て中止とする事に。

ランキングに関してとマスターズに関しては、オンライン・トーナメントを開催しその運営等の結果反省と新型コロナの状況を見て理事会にて再度話し合う事にしました。
翌21日に理事会での決定事項を発表。
少しではありますがオンライン・トーナメントに対してご意見をいただきました。
「こんな時に開催しなくても」
「緊急事態宣言も出ているんだから自宅からの参加も認めては」
どちらの意見もその通りなんですよ。
理事皆で迷っての決定でしたから、心もゆらぎますし不安にもなります。しかし一度発表した事を直ぐに変更していたら団体の信用にも関わりますし、皆で考えたシステムのテストも兼ねての無料オンライン・トーナメントですから、方式を変えたらテストにもならなくなりますから当初発表の通り開催しました。

25日の当日は私はスコアラーとして参加しました。参加選手は約100名。オンライン・トーナメントは参加した事もありませんでしたから最初は様子見です。少し見て全体の様子が分かった頃にスコアラーをする事に。
OBSスタジオというアプリを使ってn01のスコアをズームに表示させて選手にスコアを伝えます。別のスタッフがズームのボードの画像2枚を編集してユーチューブで中継をします。そこまでの設定が大変でしたが、スコアラー自体は慣れたものです。いや、n01を使っていますから普段のスコアラーより簡単ですね。
スコアラーは問題ありませんが、コントロールの方は大変そうでした。ルールについての問い合わせも多数ありますし、画像がフリーズした問い合わせ等ネットのトラブルに関しての問い合わせも。

ゲームルールについては私もサポートしましたが通常の大会よりもコントロールは大変そうでした。ともかく大きなトラブルもなく大会は終了。参加した皆様、協力してくださった店舗の方々本当にありがとうございました。
しかし通常の大会よりもスタッフは必要ですね。この日はスコアラーも入れて専属スタッフは約10人ですが、通常大会でシングル・エリミネーションの方式でしたらコントロールは2名とトラブル対処のスタッフが2名いれば200人くらいまでの大会は出来ますからね。

この大会の反省と今後の事も含めて理事会。ワールド・マスターズの開催も不透明と考えると7月末までにサンクションの大会を無理して開催する必要もありませんし、新型コロナウイルスの状況も全く先が読めません。
ワールド・マスターズの開催が確定した時に、オンライン・トーナメントで選手を選抜するかランキングで選抜するかを決定することにして、3月までのポイントでランキングを決定する事が決まり30日にその発表をしました。
会議の中で来年のアジア・パシフィック・カップの為にポイントを持ち越す意見も出ましたが、争いの激しいスポーツ界です。2年もあれば選手の実力も変わってきます。

2019年のポイントも含めて2022年10月の大会の代表選手を決定するのは、他国の状況・他の競技の例をふまえても不誠実ではないかという結論になりました。納得のいかない方もいるかと思いますが、ご理解いただければと思います。

昔のようにリーグ戦も大会も普通に出来る日が早く来ることを願いたいですね。ワクチン接種に関しては安全性の面から否定的な人も居るでしょうが、早く国民の7割くらいの人が接種するしか新型コロナウイルスが収束する方策は無いのかな。