Vol.97 坐間 達哉
ダーツの楽しさが伝わったら

2019年5月号

グリップについて
最初に持った時はどんな感じでしたか?
一番持ちやすいように、と思ったら鉛筆持ちのようになっていました。とりあえず親指と人差し指で挟んで、中指、薬指、小指は収まりがいいように添えました。誰もがそのようにしていると思いますね。

今までに変えてきていますか?
それ以来、全く変わっていません。基本的な3フィンガーでそのまま続けています。
他の人のグリップは参考にしますか?
見たり試したりはしますが、やはり僕には合わないですね。それで練習しようとはならないです。自分の持った感触が一番なので、あくまでも参考程度ですね。

季節の対応はどのようにしていますか?
乾燥する季節などもありますから、微妙に違いますよね。本人しか分からないぐらいで、少し握り方が変わっているかと思います。周りの人には分からないでしょうね。今日はこっちの方が飛ぶんだな、と思えばそうします。言葉では表現できないほど僅かですね…。

立ち方
プレイヤーによって左、真ん中、右など立つ位置には個性がありますが、どの辺に立ちますか?
基本的にはど真ん中、正面に立ちます。これもその日の感覚で多少変わりますが、でもそれも数センチでしょうか。縦ズレや横ズレが無いようにしたいので、出来るだけ真ん中を守るようにしています。
まっすぐ引いてその軌道に手を出すのが基本だと思いますので、ブルからの延長で右足をおいて右肩そして右目が来るようにしています。
立ち方で調子が悪い時などを分析してみると、バランスが良くないですね。前乗りになったり、後ろ荷重になり過ぎたりしています。自分で判断するよりも、他人に見てもらった方が分かり易いかもしれないですね。

先に投げたダーツが邪魔になる場合には、移動して投げますか?
ケースバイケースですね。いけそうなときは動かないで、そのまま勢いで投げます。しかし明らかに感触が悪い場合には仕切り直しますが、それが結果的に間が取れたりもするので、どちらが正しいとは言えません。
試合では入らないとアウトなので…。

右足は真っ直ぐにして立っていますか?
していません。右の膝は多少余裕をもたせているので、軽く曲がっています。僕はきっちり止まって投げることができないんですよね。できるだけ身体を動かさないで投げる方が望ましいんでしょうが、いくら練習してもそれが身に付きません。
それで模索を続けた結果、膝はわずかに遊びがあった方が自分に向いている、ということに気付いたんです。
荷重は右足が8、左足が2ぐらいでしょうか。その中でバランスに注意して、膝をクッションにしながら飛ばしているというのが、僕のスタイルです。

多くのプレイヤーが左足の重要性について話していますが、それについてはどう思われますか?
そうですね。僕も同じで舵を取っているのは左足だと思います。

バランスというのは、練習でしか身に付かないとお考えですか?
誰もが違った身体で飛ばしているので、間違いなくそうでしょう。投げて辿り着くしか、道は無いように思えます。

リリースポイント
早く離したい人と、できるだけ持っていたい人といますがどちらですか?
自分のイメージでは遠くで離しているのですが、動画で見ると早いですね。早くしたり遅くしたり、コントロールすることは至難の業です。

それが分かるのは投げ終わった後の肘の位置で判断出来ると思うのですが、どうでしょうか?
早い人は肘を支点にして振り切って投げるので肘が上がらず、遠くで離す人は肘が上がるということですね。僕の場合は構えたところで離していると思います。それほど肘は上がっていないでしょうね。

肘について
構えた時に肘が高い人、低い人など様々ですがどちらですか?
身長があるので周りで見ている人は、投げ下ろしているように感じているかもしれませんが、自分の中では低い方だと考えています。今までにいろいろ試したんですか、高いと投げにくく、狙えないです。下から上へ投げているイメージが強いですね。

肘については固く構えている人と柔軟にしている人がいますが、どちらですか?
僕はそもそも肘の構えた位置をきっちり決めていません。その日の調子に合わせて変えています。ぼんやりとある程度の範囲に入っていればいいですね。あまりにも正確に絶えず同じ位置に構えなければならないと考えると、窮屈になる気がします。柔らかく構えるようにしています。

肘のケアはしていますか?
ストレッチや柔軟運動はするようになりました。また右手であまり重い物は持たないようにしたり、気に掛けています。プロプレイヤーなので肘を壊すと致命的ですからね。

テイクバック
初動についてタイミングとか特別ありますか?
長い間やって来たものがあるので、リズムよく立てると自然に引けるので、そこに特別な意識はありません。
テイクバックについても何も特には決めていません。こうして構えて、この軌道で引いて、ここに手を出していく、というのを明確にしていないんです。
それよりもスローラインに入る前からのルーティーンが重要で、そこで決まると後はいつもの自分のダーツができるんです。
自分自身を信じたいですね。特に調子が良いときはそれが無意識でできるんです。

調子が良いときはテイクバックの最終点は同じ場所に来ていますか?
きっと、そうなんでしょうね。投げたら入る時は間違いなく、同じ場所にあると思います。

ダーツの飛び
ダーツの飛びは気にしていますか?
調子が悪い時ほど気になりますねぇ。バタバタと揺れて飛んでいくんです(笑)。僕はなるべく回転せずに、自然に飛んでいくのが理想なんです。

回転は好きじゃないんですか?
回転させて浮力をつけて、というのがうまくできないんですよ。それを追求すると全部が悪くなりそうなので、あまり考えないようにしています。

リズムについて
1本投げる、3本投げるなど奥深いテーマだと思うのですが?
一番大切なリズムはやはり試合で戦っている時に、自分のリズムを作ることだと思います。ずるいと思う人がいるかもしれませんが、相手が苦手なリズムに引き込むことも重要です。
我々はプロプレイヤーですからね。ルール以内でフェアな範囲ですが、皆んなプロは意識し合ってますよ。それが上手なプロプレイヤーもいて、真似したいですね。それもテクニックなのかもしれません。

早くプレイする人、遅い人、いろいろいますがどちらのタイプですか?
僕は1本目が入ればポンポンいけるので、早い方ですかね。遅く投げている人を見ていると、丁寧に投げているなとも取れるし、不安なのかなとも思います。
対戦相手のダーツを見ている人もいれば、見ていない人もいて、そこは駆け引きもあるので微妙ですよね。僕はそれほど気にしていません

ゲームについて
ゼロワン、クリケットどちらが好きですか?
ブレイクチャンスという意味ではクリケットですから、そっちの方が好きかな?負けていても揺さぶることが可能ですからね。ゼロワンは先行有利なゲームですが、そこできっちり勝てるプレイヤーは、本当にメンタルが強いんだな、と思います。僕はそれが課題です。
それにしてもプロなんだから、好きだ嫌いだと言ってるのは良くないですね(笑)。

練習方法
決まった方法があるのですか?
いつでもどんな時でも、ブルには必ず入れることができるようにしたいと思っています。プロに求められる最低限のプレイではないでしょうか。
練習したくない日もあるのですが、そんな時に最初にブルが楽に入ると安心しますが、入らなかった時には焦ってずっと投げます。明確に時間は決めていませんが、真面目に練習している方だと思います。あまり皆んなが見ていないところで(笑)。

身体全体のケアはしていますか?
何が一番大事かと考えると、絶対に試合に出て勝ち進むことなんです。最近は腰と右肩に時々違和感を感じますので、年を追うごとに整体に行く回数は増えています。また筋トレや体幹もやってます。体調が悪いと、何もできませんからね。
それから休みの日は、本気で休んでいます(笑)。何もしません!

スピリットについて
勝つための精神力はいかがですか?
始めた頃、周りにいた人達は、今はもう一緒には投げていません。それを背負って投げ続けているのかな?と時々思います。勝手に思っていることですけど(笑)。
でもそれが精神的には大きな支えになっています。長くダーツライフを続けて来ていて、応援してくれる人も増えました。その人達のためにも、きちんと上で活躍できるように、期待を裏切らないようにと常に考えています。

ダーツの魅力
改めて教えて下さい。
単純にカッコよくないですか?いい試合ではバチバチ狙ったところにダーツが入って、歓声が上がって、誰もが魅了させますよね。ダーツの醍醐味を知ると離れられないと思います。

最後に
今年の目標など読者にメッセージをお願いいたします。
こういう世界で生計を立てているプロプレイヤーがいることを、多くの人達に知って欲しいです。そしてダーツの楽しさが伝わったら、いいなと思います。そしてぜひ間近でプロの試合を観て下さい。
目標は、今まで良いところまで行っているのですが、優勝できていないのでそれを達成したいです。応援よろしくお願いいたします。