2019年1月
2018年末のセイゴのPDCでの活躍と、2019年すぐのミクルのBDOでのパフォーマンス。
まぁ、こんな時代がそんなに早くやってくるとはダーツ始めた時には思わなかったですし、そんな日本のダーツの成長過程をこの歳まで見続けているとは夢にも思わなかったですね(笑)。
ホントに、僕がダーツ始めた頃は「デタラメな時代」だったしここまで整備されていくとはねぇ。
さて、ここまで世界で通用する選手が出てきたってことは、ここまで来る過程で業界の様々な人達が自転車操業ながら、夢に
投資していた事実も裏ではあるわけです。そして、それに選手が答えてくれて成長したということがこれだけ早く成果が現れた要因でしょう。
勿論、本格参戦したらどうなるのかわかりませんが、少なくとも無駄金にはならない位置まで来ているのは周知の通り。
問題は「日本の市場はソフトで稼いでいて」ハードとの融合が出来るかどうかというのが課題となります。
せっかく選手が伸びてきても、バックアップする機能が業界になければ島国で終わってしまうということが懸念されます。今までハードの企画等も手伝ってきましたが、結果的にソフトダーツの力を借りなければハード単体では成り立たないという現実が横たわっているわけです。
例えば、バレルにしたってソフトダーツはバンバン売れますが、ハードは正直売れません。なので、必然的にビジネスですからソフトダーツ主体のマーケットになってくる。
マシンにしてもそうですよね。すぐにコインが入るなりわかりやすい定額システムでリース料が発生しているからお金が回っているのであって、ハードの場合にはソフトほど単純にビジネスになりにくい。
しかしながら、ソフトダーツのおかげで人口も増えたし才能のある人間が発掘出来た。
昔は、「お前ら、ピコピコ上がりか」(ピコピコ=ソフトダーツ)と古くからハードをやっている人に馬鹿にされたなぁ。今じゃ、上位ランキングの90%がソフト上がりですけどね(笑)。
ハードは見ていてもアレンジわからないと眠たくなるだろうし、見る側にもある程度のスキルが必要とされるので、とっつきにくいというのも問題。
このまま日本主導でソフトダーツを広めていく方向に全精力を投入したとしても、海外ではどうしても認めてもらいにくい。
別にこのまま日本スタイルを貫いていきますというのも1つの作戦でしょうし、海外になんて認めてもらわなくて結構というスタンスならば、もっと海外戦略を推し進めていかないといけない。
でも、今の現状ではやはりメディアに取り上げてもらえるのは海外のダーツシーンで活躍することが近道かもしれませんよね。
ことセイゴやミクルに関しては、冒険する前に日本で相当賞金で稼げているわけですから、判断は非常に難しいものになる。
他のスポーツみたいに、海外のチームに入ったらとてつもない契約金が手に入るわけではないし、個人競技の性ともいうべきか勝たないと結果的に生活出来ないわけで。
マーケットが小さい故に、スポンサーだって限界がある。
ハードの場合には強者がゴロゴロいる中で世界一獲るという、壮大なプロジェクトになるわけですからねぇ。
相当スポンサーのバックアップは勿論、業界が「ここだけは協力し合いましょう」という形にならないとスターは生み出せないと思います。
「夢」の前に現実的な問題が山積みですからね。
風営法があと10年早く外れていたら相当流れも変わったんでしょうけど、今の状況、ダーツバブルが弾けた状態ではこれ結構大変な問題かもしれません。状況はいい流れになって来ているのに「手詰まり感」が半端ないんです。
まぁ業界では僕よりも現状を把握している人が取り仕切っているんでしょうから、今のこの手詰まり感はヒシヒシと感じているはず。
何か抜本的な企画や改革が行われない限り、いい条件が揃っているのに手を出せないという状況が続く可能性が高いですよね。
ソフトとハードのマッチングに関しては、もう10年近く論議されていることですし、権利を持っているのが海外サイドですから、これがまたこっちの都合だけでは進まない。
どうやったらうまくユーザーサイドにソフトもハードもすんなり受け入れてもらえるのか。今だと、ハードは敷居の高いものになっていますし、敷居を低くしたからといって簡単に受け入れてもらえるものでもない。
難しいですねぇ、相当なネゴを繰り返して誰かが人柱になるつもりで(笑)纏めないと、今僕がサラッと考えるだけで鳥肌が立つほどの問題点と障害を乗り換えなければならないと思うと目眩がします。
これ人柱になった人は、銅像立てても良いくらいだと思いますよ。それくらいに調整が大変である事は確か。
もう他のスポーツみたいにユースの段階から構築していって、10〜20年先に整備されるくらいの感覚でないといけないんでしょうかねぇ。
正直、僕らの世代は次世代の「捨て駒」的になるんだろうなって12〜13年前から言ってたんです。
次世代のための石畳が僕らで、それを踏んでいって世界で活躍する選手が出せてくるんだろうなと。でも、今の状況でちょっと世界に触れておけ流のであれば、触れておきたいというのが本音。
よく「そこまでわかっているならば、自分で人柱になれば良いじゃなん」と言われますけど、無理なんですよね。
僕らには「今までの歴史」があるから、味方もいますが敵もいるんです。これは今の業界で誰でもそうだと思います。立場がそうさせるので、こればかりは「はい、フリーになりますから関係ありません」って簡単には行かないんですよねぇ。
僕自身、フリーになって10年近く経ちますけど今だに「どっち側か?」って言われる始末ですからね。まぁ、それくらい暴れたから言われるのは当たり前なんですけど(笑)。自分でも、「あの時は暴れたなぁ」って思いますからね。
僕だけではなく、こういう人それぞれの「歴史」ってものが、うまくいく話も湾曲させてしまったりするもので。
昔、若いスタッフが「ノーボーダー」にするべきだという話をされたことがあるんです。その時にまだ早いから待てと言ったんですけど、結果的にそれが大問題となったことがあったんです。
何事もタイミングを測らないと、物事はうまく行かないんですよねぇ。その時のノリではなくて今の現状を可能な限り把握しておいて、どうやってどれくらいの時間をかけて打破していくのかを考えないと、大きな流れは作れない。
今、良い流れの中でどうやって日本のダーツマーケットが立ち回れるのかという過渡期に来ているような気がします。
厄介なのが、そんなに時間をかけていられないってことですかねぇ…。